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8 名前: 愛のVIP戦士 投稿日: 2007/02/04(日) 00:37:44.62 ID:JBZe7/k+O
 軽快なチャイム音が授業の終わりを告げた。終始額を机に付けていた俺が、やっと起き上がれる時間がきたということだ。
('A`)「ふ、あー」
 背筋を伸ばしながらあくびを一発。ついでに時計もちらりと確認した。
 …もう四時か。
 学校生活の大半を寝て過ごしたことにもう慣れたという想いと、やるせない気持ちに包まれる。まあ、もう良いんだけどさ。
( ^ω^)「今日もよく寝てたおね」
生まれつきにこにこ顔の内藤が、これまたにこにこしながら近付いて来た。
( ^ω^)「授業中ドクオの顔を拝むことはついに出来なかったお」
あー、俺いつもうつぶせで寝てるからね。顔に木目ついてるかもな、大丈夫かね。


9 名前: 愛のVIP戦士 投稿日: 2007/02/04(日) 00:38:37.91 ID:JBZe7/k+O
( ^ω^)「木目? 大丈夫だお」
そこで区切って、内藤はポケットから携帯を取り出した。カチカチと少し操作し突き出してきたwebページ。
――そこには、
(*'A`)「っ! これなんてエロゲ!?」
思わず興奮してしまうほどの萌え絵が表示されていたのだ。
( ^ω^)「最近話題のエロゲ、『さくらんぼナース〜愛だもん〜』だお。作画が神なんだおwww」
('A`)「うはww神ってレベルじゃねーwww」
真ん中をきゅんきゅんさせてくれる絵だ。こいつは久しぶりだぜー! しかもよくよく見ると絵だけじゃない、シナリオもかの有名なショボン氏がやっているようで。
 …これは期待せざるをえねー!


10 名前: 愛のVIP戦士 投稿日: 2007/02/04(日) 00:39:26.23 ID:JBZe7/k+O

( ^ω^)「実は予約してたコレが昨日届きまして」
 な、
( ^ω^)「もちろん一緒にやるおね!?」
なんだってえー!
('A`)「やるに決まってるじゃねーか!やらせて下せえ!」
( ^ω^)「ちょwwwテンション上がりすぎwwwwww」
( ^ω^)「じゃあ早速僕んちに行くお!!」

*選択肢発生*

1.その前にちょっとトイレ
2.プリント出すの忘れてた
3.もちろんだ

17 名前: ◆mm5o4NoNBg 投稿日: 2007/02/04(日) 00:49:59.28 ID:JBZe7/k+O

 もちろん今から行くぜ…、とその前に
('A`)ノシ「トイレ行って来ます」
( ^ω^)ノシ「行ってらっしゃいだお」
実は結構前から我慢してたんだよな。流れを切ってしまってすまない、内藤!

内藤は俺の鞄を持って先に下駄箱で待っているそうだ。俺はわくわくテカテカする気持ちを押さえ切れず、スキップしながら便所へと向かう。
19 名前: ◆mm5o4NoNBg 投稿日: 2007/02/04(日) 01:01:28.01 ID:JBZe7/k+O
 トイレも目前に迫り早く小便してさくらんぼナースだぜ、とフヒヒ笑いを零した瞬間、
――キャラ、違くない?
 呆然とした声が背中から聞こえる。思わず振り向くと、同じクラスの女子。
 確か名前は…、えっと…。
ξ゚听)ξ「…アンタあたしのこと誰だろう、って顔してるわね」
('A`)「うっ…、ごめん」
とは言えクラスの女子とはまったく話した覚えがないのだ。会話といえばせいぜい、
「ごめん消しゴム取って」
「はいよ」
くらいしか思い出せない。
20 名前: ◆mm5o4NoNBg 投稿日: 2007/02/04(日) 01:02:06.30 ID:JBZe7/k+O
ツンは最初気に入らない、と俺を睨んでいたが、
ξ゚听)ξ「…じゃあまた明日ね」
と踵を返した。
何か用事でもあったのだろうか、早足でどんどん離れて行く。

 思わず俺は声をかけてしまった。
('A`)「あ、あのさ!」
ビクッ、とツンの肩が揺れた。
ξ*゚听)ξ「な、なによ!」
('A`)「あ、いや…」

*選択肢発生*

1.また明日な
2.さっきのどういう意味なんだ?
3.かわいいな

30 名前: ◆mm5o4NoNBg 投稿日:2007/02/04(日) 01:19:57.59 ID:JBZe7/k+O
('A`)「か、かわいいよな」

 …あ。
 何言ってんだ。俺。
 がらにもなく緊張しているようだ。だって、よくよく見たらツンは美少女と形容される資格を持てるくらいかわいくて。
ξ*゚听)ξ「な、何言ってんのよ!」
馬鹿じゃないの! と俺を非難するツンの顔は真っ赤だ。
馬鹿と言われても仕方のないことなので俺は返答に困ってうつむいた。

32 名前: ◆mm5o4NoNBg 投稿日: 2007/02/04(日) 01:20:21.43 ID:JBZe7/k+O
ξ////)ξ「………」
 ツンはばかばかと小声で俺を罵倒したが、どうすればいいか分からなくなったのかうつむいてしまう。
ξ////)ξ「………」
(;'A`)「………」
気まずい。
 男相手なら適当に話題を逸らして挽回も可能なのだが、だめだ。こんな美少女に何と言えば良いのか、俺のスペックはとうに悲鳴を上げている。

33 名前: ◆mm5o4NoNBg 投稿日: 2007/02/04(日) 01:20:50.13 ID:JBZe7/k+O
――なんかキャラ違くない?
 先ほどツンに言われた言葉を思い出した。よし、これでこの空気を一掃出来る。

('A`)「…なあ、さっきの意味ってさ」
また肩が揺れた。
('A`)「あ、いや答えたくなかったら別に良いんだけど…」
ξ///)ξ「さ、さっきのってキャラ違くない? のこと?」
('A`)「そ、そうそれだ…」
 ツンの声が震えていたので、俺まで震えてしまった。

36 名前: ◆mm5o4NoNBg 投稿日: 2007/02/04(日) 01:33:14.74 ID:JBZe7/k+O
ξ*゚听)ξ「あ、アンタっていつもぼーっとしてるじゃない!?」
('A`)「っえ!?」
いきなりなんだ、と焦る。確かに意識はぼんやりしているけども、それがなんだと言うのだ。
ツンはさらにまくし立てる。
ξ*゚听)ξ「授業中だっていつも寝てるし、ご飯の時もどっか消えちゃうし! なんか話しかけられてもうつろな返事だし!」
ξ////)ξ「あっ、い、いつもアンタのこと見てるとかそういう訳じゃないんだからね!」
ξ*゚听)ξ「だ、だから!さっきみたいににこにこしてるアンタが珍しいなって思っただけよ!」

37 名前: ◆mm5o4NoNBg 投稿日: 2007/02/04(日) 01:33:36.87 ID:JBZe7/k+O
 ふしゅー。
ツンの体から何かが抜けたような音がした。
ξ////)ξ「だっ、だからつまり…!!」
ちょっと嬉しかったのよっ!
 そう叫ばれてしまった。
(*'A`)「あ、あ、あ、」
なんだ、なんかよく分からないが……嬉しいぞ。
と、とりあえず何か返さないと。
(*'A`)「あ、ありがとう」
ξ////)ξ「――ッ!」
ツンに限界が来たようだ。真っ赤な顔をさらに染めながら俺の脇を走り抜けて行った。

38 名前: ◆mm5o4NoNBg 投稿日: 2007/02/04(日) 01:33:57.71 ID:JBZe7/k+O
('A`)「な、なんだったんだ…」
しばし呆然としたが、やがて
('A`)「あ、便所…」
ようやく本来の目的を思い出したのだった。

40 名前: ◆mm5o4NoNBg 投稿日: 2007/02/04(日) 01:41:21.12 ID:JBZe7/k+O
('A`)「悪い内藤!」
 トイレにしては長すぎた。待ってくれていた内藤から鞄を受け取って俺は謝る。
( ^ω^)「気にするなお」
( ^ω^)「それにしてもずいぶん遅かったおね、やっぱり大なのか…」
手に付いた水滴を飛ばしてやった。
別に大じゃないし、ちょっとしたトラブルのせいなのだがとりあえず、
('A`)「糞くらいゆっくりさせろや」
と言ってやった。

 それから内藤は俺のことを師匠と(ry
それはまた別の話だ。

42 名前: ◆mm5o4NoNBg 投稿日: 2007/02/04(日) 01:54:16.61 ID:JBZe7/k+O
 学校から内藤の家までは自転車で五分ほど。
内藤はダイエットだと言って歩いて来ているのだが、歩きながらポテトチップスを口に入れているあたり終わっていると思う。

自転車を引きながら俺はさっきの出来ごとを話していた。
('A`)「かわいいって、思わず口走っちゃったんだよな…」
( ^ω^)「へえ、ドクオ変態決定だおww」
('A`)「う、だよな…」
ほぼ初対面と言っていい相手にかわいい、は危険過ぎるよな…常識的に考えて。

43 名前: ◆mm5o4NoNBg 投稿日: 2007/02/04(日) 01:54:44.95 ID:JBZe7/k+O
( ^ω^)「ドクオはツンみたいなのが好みなのかお?」
('A`)「えぇ?」
いきなり何を聞くんだ。今までそんな話したことなかったのに。
( ^ω^)「まあ良いじゃないかだお。で、どうなんだお?」
('A`)「俺は…」

*選択肢発生*
1.うん、ツンが好みだ
2.いや、クーさん
3.や、やっぱ何でもねえ

47 名前: ◆mm5o4NoNBg 投稿日: 2007/02/04(日) 02:06:03.44 ID:JBZe7/k+O
('A`)「好み…」
 俺の好み…。
 ふと、横にいる内藤が目に止まった。
( ^ω^)「?」
('A`)「………」
( ^ω^)「?」
(*'A`)「や、やっぱなんでもねえ。秘密だ」
(#^ω^)「な、ずるいおドクオ! 最後まで言えだお!」
('A`)「うるせ! はやくさくらんぼナースだバーロー!」

 あれ、おかしいな。
どきが、むねむね…。

51 名前: ◆mm5o4NoNBg 投稿日: 2007/02/04(日) 02:33:51.22 ID:JBZe7/k+O
('A`)「お邪魔するー」
( ^ω^)「いらっしゃいだおー」
靴を脱いでしゃがみ込んで揃えた。大理石の床に汚いローファーを置くのはどうかと思ったが、仕方がない。せめてすこしでも調和するようきちんと揃えておこう。
( ^ω^)「先に二階に行っててくれだお」
('A`)「把握」
階段を上りながら毎度のことだが思う。どうしたらこんな豪邸に住めるのだろう、と。

52 名前: ◆mm5o4NoNBg 投稿日: 2007/02/04(日) 02:35:01.11 ID:JBZe7/k+O
一面大理石が敷き詰められ、部屋はたくさん。ふかふかの高そうなソファーにこれまた高そうなオブジェクト。さっきちらりと見てしまったが、流しに置いてある食器までもが高そうな装飾が施してあった。
内藤の家は金持ちなのだ。たしか親が会社を設立しているとか。
当然内藤の部屋は俺の理想が詰め込まれている。
パソコンの環境にソフト。ゲーム機まで何でも揃っていると言っても過言ではない。

('A`)「よっこらセックス」

軽く部屋を見渡してみた。宝の山だった。

('A`)「うらやましいぜ内藤…!」

53 名前: ◆mm5o4NoNBg 投稿日: 2007/02/04(日) 02:36:00.37 ID:JBZe7/k+O
( ^ω^)「? 何がだお?」
ポテトチップスとコップを持って内藤がやって来た。
 独り言だったのに、流せバーロー。
('A`)「言わせる気かよ。嫌味なヤローだ」
(;^ω^)「ご、ごめんだお?」
聞くな。謝罪を疑問符で終わらせるな。
('A`)「…まあいいか」
( ^ω^)「と、とにかくやるおっ!!」
('∀`)「おう!」


その後俺たちはたっぷりと二次元を堪能し――俺は帰路へと着いた。

54 名前: ◆mm5o4NoNBg 投稿日: 2007/02/04(日) 02:36:30.00 ID:JBZe7/k+O
 
――…

夜もどっぷりと更けている。空には星がきらきらと…輝いておらず、雲が邪魔をしていた。

(*'∀`)「さくらんぼナース!さくらんぼナース!生麦ドキドキさくらんぼナース!」

主題歌を口ずさみながら気分良く自転車をこいでいく。

(*'∀`)「まだまだ行くよぅー!」

 いやはや、それにしてもあのエロゲのクオリティは異常だった。まだ序盤をさらりとやっただけだったが、キャラの魅力が全開だった。

56 名前: ◆mm5o4NoNBg 投稿日: 2007/02/04(日) 02:37:16.33 ID:JBZe7/k+O
 特にさくらちゃん。あのロリナースはやばい。超やばい。さすがメインヒロインだ。力のいれようが違う。

(*'∀`)「やっぱシナリオも神だったな」

一人ごちりながら近道をしようと俺は公園に入る。

(*'∀`)「さくらんぼナース」
「やらないか」
(゚A゚)「さ、さくらんぼ…、!?」

声のする方を見るとベンチには謎の男が座っていた。どうやら今の声はこの人らしい。
57 名前: 愛のVIP戦士 投稿日: 2007/02/04(日) 02:50:54.61 ID:JBZe7/k+O
 暗くてよく分からないのだが、なぜかつなぎを着ているのだけは把握出来た。
…しかしこの声どこかで。

「自転車をホイホイ止めちゃって良いのかい? 俺はノンケでも…」
 ええと、誰だっけ。…そうだ、えっと…
('A`)「アッー!」
「なんだ、最初からのりのりだな。じゃあさっそく…」

('A`)「阿部先生、ですよね!」
間違いない。この声、体育の阿部先生だ。
阿部「…なんだ、2-Aのドクオか」
明らかに声のトーンが落ちている。

58 名前: ◆mm5o4NoNBg 投稿日: 2007/02/04(日) 02:56:51.93 ID:JBZe7/k+O
('A`)「どうしてこんなとこで」
阿部「…俺は生徒には手は出さないって決めたんだ。もう夜は遅い。俺の気が変わらないうちに帰りな」
('A`)「いや、あの先生」
 話聞いてます?
阿部「早く帰りな」
('A`)「え、あ、はい…」

なんだか分からんが俺はこの場から去ることにした。これ以上ここにいたらなんか危ないような気もするし。

('A`)「あ、じゃあさよなら」
阿部「ウホッ!南西の方向に良いおt…、…じゃあな」

あー、なんか阿部先生のせいで変な気分ですよ。さっきまでのテンションがた落ちっすよ。
59 名前: 愛のVIP戦士 投稿日: 2007/02/04(日) 02:57:47.28 ID:JBZe7/k+O
('A`)「どうしてこんなとこで」
阿部「…俺は生徒には手は出さないって決めたんだ。もう夜は遅い。俺の気が変わらないうちに帰りな」
('A`)「いや、あの先生」
 話聞いてます?
阿部「早く帰りな」
('A`)「え、あ、はい…」

なんだか分からんが俺はこの場から去ることにした。これ以上ここにいたらなんか危ないような気もするし。

('A`)「あ、じゃあさよなら」
阿部「ウホッ!南西の方向に良いおt…、…じゃあな」

あー、なんか阿部先生のせいで変な気分ですよ。さっきまでのテンションがた落ちっすよ。

60 名前: ◆mm5o4NoNBg 投稿日: 2007/02/04(日) 02:58:35.89 ID:JBZe7/k+O
 変な気分で家に着き、そのまま俺はベッドに横になった。
風呂は…めんどくせえ。明日早く起きて…朝に……。

(-A-)「……Zzz」



変な夢を見た。
ツンの後ろに内藤が、その後ろに髪の長い誰かが。手を振って、笑ってた。

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