.
.
477 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/09(金) 20:08:37.87 ID:X9wQeOkNO
光が降り注いでいるのが分かる。鳥のさえずりが聴覚を刺激する。
…遠回しにし過ぎだ。
――朝が来たようだよ、俺。起きたまえ。また遅刻するぜ。
(うA-)「…ねんみー…」
上まぶたと下まぶため、こんなに仲良くなりやがって。離れたくないってかバカヤロー。
覚醒しきれない体と葛藤してると、爆音とともに侵入者が。
侵入者っつっても奴しかいない。
*(‘‘)*「にーちゃおはよっっっ!」
('A`)「……はい、おはよ」
眠気は完全に消えました。
478 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/09(金) 20:10:00.16 ID:X9wQeOkNO
*(‘‘)*「今日の朝ご飯はたまごかけごはんだよおっ!」
母さんめ、手抜いたな。
('A`)「兄ちゃん制服着なきゃならんから先メシ食ってな」
*(‘‘)*「やー!ヘリカルにーちゃと食べるー」
('A`)「そうか、把握」
ヘリカルはにこにこと俺が着替えるのを待った。
また、いつもの一日が始まろうとしていた。
480 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/09(金) 20:14:19.94 ID:X9wQeOkNO
――…
朝飯もさらさらと頂き、準備万端な俺。
時間的にもまだ余裕がある。
('A`)「…どうすっかな」
**選択肢発生**
1.歩いて学校行ってみるか
2.余裕あるしもう一眠りするか
3.メールでもするか
>>185
488 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/09(金) 20:22:17.97 ID:X9wQeOkNO
…メールでもするか。
暇ですしね、朝からメールというのも悪くない。
携帯を取り、アドレス帳を呼び出してみる。
( 'A`)ロ
ゴシゴシ(うA`)ロ
( 'A`)ロ
――――――――――
ぃょぅ
カーチャン
ジョルジュ
トーチャン
内藤
――――――――――
身内と男しかいNEEEEEEE!!
これは鬱になるNE!
491 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/09(金) 20:26:35.62 ID:X9wQeOkNO
いや、その、なんだ。てっきりξ゚听)ξとか川 ゚ -゚)とか知ってるものだと思ったが。
知らないのは当たり前だ。だってまだ話すようになって日が浅い。
つかこのアドレス帳の少なさは童貞丸出しっすねwww……はは。
( 'A`)ロ「えーと…」
誰にメールしますか、俺。
**選択肢発生**
1.ぃょぅ
2.カーチャン
3.ジョルジュ
4.トーチャン
5.内藤
>>195
504 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/09(金) 20:40:49.36 ID:X9wQeOkNO
内藤にメールしてみることにした。
あいつ起きてんのかねえ…。ちょっと心配になる。
なんて送ろう。おはよう、で良いか。
('A`)「おはよう、と」
送信完了。あとは返事待ちだ。
――…
返事こねええええ!!
あいつ絶対寝てやがるな!!
これだから学校に家が近い奴は嫌なんだよ! 朝から余裕でいやがって。
まだ時間もある。メールしよう。
1.ぃょぅ
2.カーチャン
3.ジョルジュ
4.トーチャン
>>507
512 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/09(金) 20:44:49.76 ID:X9wQeOkNO
久しぶりにぃょぅにメールしてみる。
ぃょぅは一個下の後輩だ。中学時代からの付き合いで部活も一緒だった。
俺が高校でバスケやってないって知った時、あいつほんとにがっかりしてたっけ。
それ以降それとなく疎遠となってしまい、あいさつを交わすだけの仲になってしまった。
ぃょぅは結構俺になついてくれていただけに、今の状態でこいつにおはよう、って気軽に送りにくいんだよな…。
なんて送ろうか。
**自由記述発生**
>>517 ぃょう、生きてるか!!俺は逝きてるぜ!!
519 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/09(金) 20:52:16.23 ID:X9wQeOkNO
そうだ、ここは明るく…
『ぃょう、生きてるか!!俺は逝きてるぜ!! 』
よし、送信完了と。
――…
返事キター!!
早い早い!
さすが、内藤とは違うぜ!
『生きてますょぅ! 先輩からメール久しぶり過ぎて朝から興奮してますょぅ!!』
…うわ、なんかこいつ全然かわってねえな。ちょっと嬉しい。
…返事は、
539 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/09(金) 21:03:23.72 ID:X9wQeOkNO
えーと、そうだ。
『お前は相変わらずみたいだな』
送信完了、と。
正直、ぃょぅが普通にメールを返してくれたことにもの凄く安心している自分がいる。
俺は、逃げ出した弱虫だっから。
――…
『俺は簡単に変わりませんょぅ! …あの、先輩、久しぶりに学校一緒に行きませんかょぅ?』
>> しゃぶれよ
569 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/09(金) 21:17:25.34 ID:X9wQeOkNO
あー、良いな。久しぶりに。
ぃょぅは、“あの時のこと”もう忘れているのかもしれない。
俺は同意の返事をしようと…
『しゃぶれよ』
…あれ?
――送信完了。
…あれ?
あれえええええええええ!?
613 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/09(金) 23:05:46.66 ID:X9wQeOkNO
『ちょw朝からすごい冗談ですょぅ!!
いつもの公園で待ってますょぅ!』
な、流してくれたか!?
…不安だが、まあ大丈夫だろう。
多分、…大丈夫。
――…
冬の朝って、辛い。
体の暖かさが吸い取られていくみたいで嫌いだ。
J( 'ー`)し「行ってらっしゃーい」
('A`)「行って来ます」
はあと息を吐く。息は驚くほど白かった。
…これは雪が降るかも分からんね。
614 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/09(金) 23:06:33.08 ID:X9wQeOkNO
――…
学校の途中にある公園に行く。ここでよく二人で今後の部活方針について話し合った。…なつかしい。
(=゚ω゚)ノシ「先輩!!」
ぃょぅは俺の姿を認めると、嬉しそうに駆け寄って来る。
('A`)「おう、はよーっす」
こんなやり取り、何か月ぶりだろう。
<(=゚ω゚)「先輩からメール着た時は目ェ疑いましたょぅ」
('A`)「はは、何か暇で」
ヽ(=゚ω゚)ノ「暇な先輩の相手出来るなんて本望ですょぅ!」
615 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/09(金) 23:07:27.45 ID:X9wQeOkNO
ぃょぅはにこりと笑った。
('A`)「(ほんと変わってねーな)」
ここまで変わらないと逆に不安になるのは、気のせいだろうか。
――…
二人乗りをして学校まで行く。
(=゚ω゚)ノ「僕がこぎますょぅ」
('A`)「バーロー!後輩にそんなことさせられるか」
とは言っても俺とぃょぅは同じような体型だから、どちらがこいでも問題はない。
まあ結局、俺がこいでぃょぅがケツに乗った。
ゆっくりと進みだす。
ふ、軽い軽い。
まだまだ俺の脚力も衰えてないってこったな。
616 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/09(金) 23:10:03.17 ID:X9wQeOkNO
(=゚ω゚)「先輩」
決意を滲ませるぃょぅの声。
朝から、何言う気だ。
('A`)「何だ?」
(=゚ω゚)「バスケ…やりましょうょぅ」
('A`)「…お前、それ言うために朝誘ったのか?」
(=゚ω゚)「……」
ぃょぅは沈黙した。図星だったのだろう。
617 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/09(金) 23:16:58.04 ID:X9wQeOkNO
俺も、黙る。
('A`)「……」
(=゚ω゚)ノ「……」
今更やる気はないのだ。
中学時代、ぃょぅと俺のコンビはチームの攻撃の主だった。
だから高校でそれを復活させたいという想いは分かる。
だが、無理なものは無理だ。
自転車をどんどん加速させて行く。
('A`)「…風さみー」
(=゚ω゚)「今日は雪降るかもですょぅ」
('A`)「うげ、雪嫌だな」
620 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/09(金) 23:19:48.87 ID:X9wQeOkNO
(=゚ω゚)「先輩寒いの嫌いでしたよね。中学ん時寒いから練習試合行きたくないって言われた時は、あきれるのを通り越して笑っちゃいましたょぅ」
('A`)「だってお前あの時雹降ってたぜ? おかしいだろ」
(=゚ω゚)「あれは痛かったですょぅ…」
621 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/09(金) 23:23:12.14 ID:X9wQeOkNO
学校に着く。長いようで、あっという間。変な感じだ。
自転車を停めに行く。置くのが一苦労だということがぃょぅにも分かっているらしい。手伝います、と着いてきてくれた。
――と、
('A`)「痛ッ!!」
624 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/09(金) 23:29:50.79 ID:X9wQeOkNO
指に鋭い痛みを感じた。
見てみると、綺麗な赤い筋が手の甲に滲んでいた。
('A`)「うわー…いてぇ」
どうやら脇に茂る葉で切ってしまったみたいだ。
(=゚ω゚)ノ「ツイてないですょぅ」
('A`)「うっせ」
ぃょぅは俺の傷を見て、そっと手を伸ばし自分の口まで持って行く。
そして、ちろりと赤い舌を除かせた。
俺は――
**選択肢発生**
1.それを黙って見る
2.慌てて手を振りほどく
>>628
635 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/09(金) 23:43:31.84 ID:X9wQeOkNO
俺は、黙って見守る。
ぃょぅの舌が、俺の手を這う。
――暖かい、不思議な感触。くすぐったいような、気持ち良いような。
すうっとぃょぅは俺の血を払拭し、にこりと笑った。
その表情で、俺は悟る。
――こいつは、変わってしまったと。
637 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/09(金) 23:47:46.00 ID:X9wQeOkNO
さっきまでのぃょぅは、『ただ作られた』ぃょぅだったと。
(=゚ω゚)ノ「――…本当は」
ぃょぅが低い声で言った。
(=゚ω゚)ノ「“しゃぶって”あげたかったんですょぅ」
('A`)「お前…」
(=゚ω゚)ノ「俺はあきらめませんょぅ?」
643 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/09(金) 23:50:58.85 ID:X9wQeOkNO
(=゚ω゚)ノ「絶対…また、先輩とバスケするんですょぅ…!!」
('A`)「……」
ぃょぅの瞳が何を語りたいのか分からない。
分かるには、深過ぎた。
('、`*川「あんた達、そんなとこでどーして突っ立ってるんだい?」
(=゚ω゚)ノ「あ、先生! おはようございますょぅ!!」
649 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/09(金) 23:55:03.31 ID:X9wQeOkNO
('、`*川「おはよう。ぃょぅは今日も元気だな」
(=゚ω゚)ノ「元気ですょぅ! 朝から先輩と一緒に来れたし」
ね、とぃょぅはこっちを見る。
”俺はただ頷くしか出来ない。
('、`*川「ドクオ君もおはよ。君はなんだか元気がないようだねえ」
('A`)「はは…、低血圧なんで」
650 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/09(金) 23:59:04.71 ID:X9wQeOkNO
(=゚ω゚)ノ「じゃあ先生! 僕は失礼しますょぅ! 先輩もまた!」
('、`*川「ああ、またな」
('A`)ノ「じゃあな…」
('A`)「じゃあ俺もこれで」
この流れで俺は歩き出そうとした、のだが。
あれ? 動けないよ。前に進まない。
('A`)ヽ('、`*川「ちょっと相談がある」
先生の力の強さは異常だと思った。
652 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/10(土) 00:03:17.61 ID:Hc2I3YPmO
('A`)「…何すか」
('、`*川「だいたい予想は付いてるんじゃないか、君も」
('A`)「いや、皆目見当も」
('、`*川「君は茶化すのがうまいねえ」
言うと、振り返ってぃょぅを見つめるペニサス。
――何を言いたいか。予想は、ついている。
654 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/10(土) 00:04:52.48 ID:Hc2I3YPmO
('、`*川「ぃょぅは…男バスの中でよく頑張っているよ。
――頑張り過ぎとも言えるが」
660 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/10(土) 00:12:10.27 ID:Hc2I3YPmO
('A`)「…そう…っすね」
この高校のバスケ部はレベルが高い。県大会の常連、優秀校だ。
('、`*川「あの子の気持ちは分からなくもないんだ。だが、」
('A`)「…先生も酷なこと言いますね」
言葉を遮る。言って欲しくなかった。
('、`*川「…君が必要だと思うんだ」
661 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/10(土) 00:15:05.60 ID:Hc2I3YPmO
('、`*川「高校は…男女の体格差、身体能力、それが一番顕著にあらわれる時期なんだ」
('A`)「だから、…ぃょぅには俺が必要だと?」
('、`*川「中学時代から君の存在は大きかったんだろう? ぃょぅの…彼女の支えに君はなれる。なって欲しい」
('A`)「…先生…」
683 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/10(土) 00:24:14.09 ID:Hc2I3YPmO
('A`)「俺には、…多分、無理です」
('、`*川「そうと決め付けるのは良くないね。君を、ぃょぅはずっと追っていた」
('A`)「…」
('、`*川「心と体は、どうして一緒になれないんだろう。見ていると、いつもそう思うさ」
('A`)「先生」
**選択肢発生**
1.今、俺には無理です
2.先生の言うことは間違ってる
3.…見学、させてください
>>690
698 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/10(土) 00:29:00.84 ID:Hc2I3YPmO
('A`)「…今、俺には無理です」
確かにぃょぅのことは気にかかる。心配だし、ぃょぅが傷つくようなことは避けたい。
だが、
('A`)「他に、あるんです」
抱き締めてあげたい、助けてあげたい人が、他にいるんです。
('、`*川「君は…」
703 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/10(土) 00:32:32.08 ID:Hc2I3YPmO
('A`)「…あんま、こういうこと軽々しく言っちゃいけないとは思いますけど」
('、`*川「構わない」
('A`)「自分を決めるのは、あくまでも自分…だと、中学の時ぃょぅから学びました」
('、`*川「…ああ」
('A`)「だから、その…」
言葉につまった。
俺、今最低なこと言ってないか?
…大丈夫か?
705 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/10(土) 00:34:43.05 ID:Hc2I3YPmO
('、`*川「君の言いたいことは、分かる。君は、私が思ってたより随分と大人なのかもなっ!」
ぽんぽんと肩を叩かれた。
('A`)「あ、いや…」
('、`*川「でも一度は部活のぞいてみてくれ。君はバスケが上手だ。阿部先生のお墨付きだからな」
711 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/10(土) 00:39:44.84 ID:Hc2I3YPmO
('A`)「あー…、なんか、その、」
('、`*川「ただ、やはりぃょぅには声をかけてやって欲しい。君はぃょぅに対して何かしら距離をとってしまう傾向があるようだし…」
図星だったりもする。
バスケをやめた罪悪感があったんだ。
('、`*川「ドクオ君、私は君の入部をwktkして待っているぞ」
('A`)「ど、どうも」
('、`*川「ははっ! びびりすぎじゃないのか?」
ペニサスの笑顔は人を安心させる何かがある。
…先生と話せて良かった。無論、ぃょぅとも、
7 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/10(土) 15:03:17.96 ID:Hc2I3YPmO
ペニサスと別れる。
あそこまでぃょぅのことを考えてあげられる先生って、すげえ。先生の後ろ姿を見て、俺はそんなことを思った。
('A`)「…もうホームルーム始まる時間じゃねえか」
俺は早足で教室に向かった。
|・ω・`)ジー
8 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/10(土) 15:03:43.38 ID:Hc2I3YPmO
急いで階段を昇る。二年生の教室は最上階の四階。
…運動不足の俺には結構キツいわけで。
(;'A`)「早く三年になりてえええ」
三年の教室は二階。昇らなきゃいけない階段がぐっと減る。
ξ;゚听)ξ「本当よね! なんで一年生の時より疲れなきゃならないのよ!!」
(;'A`)「あ」
ξ;゚听)ξ「あ」
12 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/10(土) 15:32:49.90 ID:Hc2I3YPmO
お互い独り言を聞かれて、何となく気まずい。
一瞬の静寂を、ツンが破る。
ξ゚听)ξ「…おはよう」
('A`)「おう、おはよ」
俺とツンの動きは完全にゆるやかになった。
遅刻で入るのは一人では気まずいものがあるが、二人だったら罪悪感も薄れる。
もう遅刻なんてクソくらえ! だ。
――キーンコーンカーンコーン
始まりの音が響く。
45 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/10(土) 21:47:56.03 ID:Hc2I3YPmO
二人でのんびりと階段を昇る。
ξ゚听)ξ「あたし達、遅刻決定ね」
ツンはどこか楽しげに呟いた。
('A`)「別に良いぞー? 急いじゃっても」
茶化すように言う。
まあ、もしツンが先に行ったとしても俺はのんびり行くし。
俺がいるから、って先行くのを遠慮されているのは嫌だ。
46 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/10(土) 21:49:05.71 ID:Hc2I3YPmO
('A`)「…、ツン?」
急に足を止めたツンに、俺は訝しげに聞く。
ξ゚听)ξ「…あたしは、アンタと一緒なら、良いわ」
ぽつり、ぽつりと絞り出すような小さな声。
ξ゚听)ξ「遅刻だって、アンタがいればいくらでもする」
いつも勝ち気な印象を受けるツンの、初めて聞く声。
一言、一言に自信がなくて。迷うような、おぼろげな声。
47 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/10(土) 21:49:30.80 ID:Hc2I3YPmO
ξ゚听)ξ「あたしは、…あたしは…っ、…!」
('A`)「ツン…」
思わず、手を伸ばしてしまいそうになった。
…そのまま抱き締めてあげたい。そんな使命感にかられる。
だが、それは俺の中で躊躇われる。
たった三段の距離が、何よりも遠いものに感じた――…
('、`*川「おい! お前ら! もう授業始まってるんだぞ!」
ペニサスの声に俺とツンはびくりと肩を震わせた。
48 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/10(土) 21:50:59.59 ID:Hc2I3YPmO
('、`*川「ドクオ、お前さっき別れてからずいぶん時間経ってるのに何でいまだに階段昇ってるんだよ!」
('A`)「さ、サーセン…」
('、`*川「ツン! お前は遅刻を平気でするような奴じゃないだろ!」
…俺だって遅刻を平気でするような奴じゃないんすけど。
ξ゚听)ξ「…、ごめんなさい」
('、`*川「さあ、さっさと教室に行くんだ!」
ペニサスに促され、俺とツンは教室に向かう。
ペニサスは俺たちが心配なのか付いて来て、結局ツンの話を最後まで聞くことが出来なかった。
50 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/10(土) 21:54:39.05 ID:Hc2I3YPmO
――…
担任に謝った後、やれやれと着席する。
遅刻するくらいだったら休め、って前に誰かが言ってたような。それが出来たら苦労しないっつーの。
なんて毒づいて、俺は教室を見回す。
前には相変わらずの真っ直ぐな背中があってほっとする。
もう、体は大丈夫なのかな。
52 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/10(土) 22:03:30.80 ID:Hc2I3YPmO
昨日のクーは、本当にだるそうだったから。それに気になることもある。
あの保険医、なんかクセェんだよな。
…あとで探り、いれてみるか?
いやいや、それをクーが知ったらどうなる?
傷つけるんじゃないか?
俺の頭の中はクエスチョンマークで満たされた。
('A`)「スペックオーバーダバーロー」
考えることをやめて寝ることにする。
…まあ、なるようになるさ。
――この時、俺は確かに感じていたんだと思う。
想いと、出会いの最後が。
近付いていることを。
54 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/10(土) 22:11:40.89 ID:Hc2I3YPmO
――…
たとえば眠気が物体だとしたら、今の俺の体には尋常じゃない量の眠気が取り付いているだろう。
…眠い。
うつぶせになってるだけでも楽だ。…これは起き上がれないかも分からんね。
…と、唐突に体が揺れる。
何だよ、地震か!?
( ^ω^)「ドクオー、起きるんだおー。お客さんだおー」
…違うようだ。
(うA`)「お客さん?」
まぶたをこすりながら扉を見る。
そこにいたのは――
**選択肢発生**
1.しぃ
2.阿部先生
3.ペニサス
4.ぃょぅ
>>59
62 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/10(土) 22:20:53.32 ID:Hc2I3YPmO
しぃだった。ジャージ姿のしぃは、いかにも練習後という感じで頬がうっすら紅潮している。
(*゚ー゚)「睡眠中にごめんねっ!」
しぃは手を合わせ、謝罪のポーズ。
('A`)「や、気にするな。…で、何か用か?」
(*゚ー゚)「…あたしっ、ドクオ君に言わなきゃいけないことあると思ってさ!」
('A`)「あ…」
昨日のしぃの堅い表情とともに阿部先生に言われたことを思い出した。
――言葉は、慎重にな。
…言わなきゃいけないことがあるのは、俺の方じゃないのか?
197 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/11(日) 22:46:54.74 ID:efE7MWURO
>>62の続き
(*゚ー゚)「…ドクオ君?」
しぃは不思議そうに首をかしげた。
俺がいろいろ考えてぼーっとしていたせいだ。
――よし、今だ。
('A`)「しぃ、俺…その、昨日…」
(*゚ー゚)「ドクオ君」
しぃはすっと俺の口許に指を差し出して言葉を制した。
(*゚ー゚)「それはっ、もう、いいから、さっ?」
198 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/11(日) 22:47:24.18 ID:efE7MWURO
('A`)「あ…えと、」
こういう時に上手く答えが出ないのが俺のスペックの限界を感じさせる。
('A`)「…そういえばお前…俺に何の用なんだ?」
謝罪させる気もないのなら、一体。
(*゚ー゚)「うん、ドクオ君。あたしね」
199 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/11(日) 22:47:58.19 ID:efE7MWURO
(*゚ー゚)「ドクオ君が好きみたい」
202 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/11(日) 22:50:32.91 ID:efE7MWURO
…え?
今、なんて?
(*゚ー゚)「だからね」
しぃはにこりと笑った。
(*゚ー゚)「あたしドクオ君が好きみたいなの」
('A`)「…え、」
言葉が出なかった。
何だ、これ。これなんてエロゲだ?
…いや、冗談なんか言ってる場合じゃない。
今、しぃは俺のことを
――好きと言った。
204 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/11(日) 22:53:19.45 ID:efE7MWURO
ξ゚听)ξ「…ッ、な!」
ツンがこっちを勢い良く振り返ったのが視界に入る。
(;^ω^)「ど、堂々告白かお…」
川 ゚ -゚)「………」
予想だにしない声の大きさのおかげで、今やクラス中の顔がこちらへ向けられている。
205 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/11(日) 22:56:10.98 ID:efE7MWURO
――ま、待て。
今はクラスとか、そういうことを気にしている場合ではないのだ。
しぃは――俺のことが好きだ、と。
真っ直ぐ俺を射抜く瞳は、嘘を付いているようには見えない…のだが。
('A`)「ほ、本当…なのか?」
恐る恐る聞く。本当にこういう事態には慣れていない。
疑ってかかってしまうのは経験不足のせいだ…と思う。
206 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/11(日) 22:58:49.97 ID:efE7MWURO
(*゚ー゚)「本当、だよ」
しぃはにこりと笑い、小さな手で俺の両手を握った。
体が動かない。俺、告白されているんだ。
(*゚ー゚)「ドクオ君」
('A`)「………え?」
(*゚ー゚)「返事、聞きたいんだけど」
('A`)「あ…」
俺は…
**選択肢発生**
1.だが断る
2.考えさせて欲しい
3.良いぜ
>>210
214 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/11(日) 23:04:20.59 ID:efE7MWURO
――俺は、
('A`)「考えさせて欲しいんだ」
(*゚ー゚)「…どうして?」
('A`)「ど、どうしてって…」
俺は今すぐにしぃの気持ちに応えることは出来ない。
だけど、向けられた真摯な気持ちを無下にすることなんてできないんだ。
('A`)「…だから、考えさせて欲しい」
219 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/11(日) 23:11:41.28 ID:efE7MWURO
え? なぜ笑う? ここ笑うとこじゃないよな?
――まさか俺、騙された!?
(*゚ー゚)「やっぱりドクオ君は良い人だったね」
…意味が分からない。言葉繋がっていないではないか。
(*゚ー゚)「ごめん、今の嘘」
('A`)「…えぇ?」
後ろから三人余りのほっと息を吐く音が聞こえた。
…三人?
いやいや気のせいだろう。
222 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/11(日) 23:14:13.66 ID:efE7MWURO
(*゚ー゚)「昨日のドクオ君の言葉に、正直あたし傷ついたんだよっ!」
ばしばしと肩を叩かれた。…痛い。
(*゚ー゚)「ドクオ君が、あたしの気持ちなんかどうでも良いって思ってるんじゃないかって」
('A`)「そんなことは…」
(*゚ー゚)「うん。今ので分かった」
224 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/11(日) 23:16:05.02 ID:efE7MWURO
(*゚ー゚)「今のはドクオ君の気持ちを確かめるテストだったの」
('A`)「…?」
(*゚ー゚)「あはっ! いまいち飲み込めてないって顔してるうー!」
あはははっとしぃは豪快に笑った。
いやいや、そんな爆笑されても。
228 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/11(日) 23:19:31.05 ID:efE7MWURO
(*゚ー゚)「とにかく今のはジョーダン! そんな不思議そうな顔しないでえー!!」
頬をぐにぐにと引っ張られた。
('A`)「いだ! いだいんだけど」
(*゚ー゚)「…でもね、」
急にしぃの顔が近付いた。
(*゚ー゚)「もしかしたら冗談じゃなくなっちゃうかもねっ?」
そう言うと、しぃはじゃあねっと踵を返す。俺はというと呆然と突っ立って言葉の意味を考えているだけ。
…ああ、何とも間抜けな。
232 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/11(日) 23:22:44.27 ID:efE7MWURO
( ^ω^)「ドークーオー」
('A`)「うわっ!!」
背後からいきなり声をかけられたせいで阿呆にでかい声を出してしまった。
('A`)「気持ち悪い声のかけかたすんな!!」
( ^ω^)「おっおー…、で、何でドクオは朝から告白されていたのか産業で」
('A`)「俺にも
わから
ない」
( ^ω^)「…無理やりな産業だお」
238 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/11(日) 23:25:55.85 ID:efE7MWURO
いや、だってわかんねえもをはわかんねえし。
とりあえず昨日のことは許してもらったようだ。それだけしか分からん。
('A`)「女心は秋の空ってね」
( ^ω^)「意味が全然違うお」
('A`)「うるせっ!」
現代文三点の男に言われたくねーんだよ!
250 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/11(日) 23:41:25.74 ID:efE7MWURO
ξ゚听)ξ「ちょっとドクオ! あんた今のどういうことよ!」
ちょ、ツンまで来た。しかも何となく怒り顔だ。
川 ゚ -゚)「私もその件に関して大変気になるぞ」
クーもかよ! クーの表情は…いつも通りの無。だがそれが怖い。
( ^ω^)ξ゚听)ξ 川 ゚ -゚) 「ど う な ん だ い ?」
そんなに詰め寄られてもだな! 答えようがないのだ。
なぜなら
('A`)「俺だってわかんねーんだからよ!!」
そう言ってこの場は何とか逃げ切ることができた。
251 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/11(日) 23:48:07.13 ID:efE7MWURO
――…
('A`)「いーい天気だな」
俺の視線は窓の遥か遠く。空のむこうに注がれている。
( ^ω^)「…そうかお? 雪降ってるお」
('A`)「バカヤロ。こーゆーのがオツってもんなんだよ」( ^ω^)「そーですね」
('A`)「タモリ乙」
弁当片手に至極どうでもいい会話を繰り広げている俺と内藤。
本当にどうでも良い。
252 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/11(日) 23:52:51.14 ID:efE7MWURO
…まさか、本当に雪降るとはな。
一人さびしく呟いてみる。
内藤は俺との会話よりもカツカレーを食べることに専念したいらしい。ガツガツと音を立てながらまるで飲むようにカレーを吸収する。
('A`)「…おま、ちゃんと噛んでるか?」
( ^ω^)「え? 何かいったかお?」
('A`)「いや、良いんだけどな…」
254 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/12(月) 00:00:41.43 ID:RNLP1A2SO
カレーは…飲み物じゃないぞ。内藤。
雪降る昼休み。俺の言葉は雪のようにそっと解けて消えた。
…なんて詩人な俺KIMEEEEE!
( ^ω^)「ドクオー」
腹いっぱいになって満足げな内藤。うん、単純な奴だ。
('A`)「何だ? ノート見せて、とか宿題見せて、とかはなしだからな」
(;^ω^)「むぅ…そしたらブーンにとってのドクオの存在価値が…じゃなくて、宿題の話じゃないんだお」
478 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/12(月) 23:04:32.74 ID:RNLP1A2SO
('A`)「あ? じゃあなんだ?」
他の話題に全く心当たりがないというのも悲しいものだな。こいつとは高一からの付き合いだというのに。
(;^ω^)「ひ、ひどいお! 僕とドクオは今までいろんな語り合いをしたお!! 宿題の話なんてちょびーっとしかしたことなかったお!」
('A`)「…、…え?」
(;^ω^)「ちょ、ひでえwww」
というのはさておき、
('A`)「で、本題は? 産業でな」
(;^ω^)「今日のドクオはなんかひどいおー」
480 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/12(月) 23:07:11.95 ID:RNLP1A2SO
内藤はぷうっと頬を膨らました。正直気持ち悪いがまあ良いだろう。
( ^ω^)「…最近、なんか変なんだお…」
('A`)「変って何が?」
( ^ω^)「体が、疼くっていうか」
('A`)「……きめえ」
( ^ω^)「最後まで聞けお」
484 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/12(月) 23:13:58.12 ID:RNLP1A2SO
はいはいすいませんね。ちゃんと聞きますよ、正座します。
…本当に正座してみた。内藤の目をばっちり見て、聞く態勢は万全だ。
( ^ω^)「何もそこまでしなくても」
('A`)「気分だ、気分」
( ^ω^)「…で、何でこんな変な感じになるのかなあって一晩中考えたんだお。そうしたら…」
内藤の視線が俺の顔に注がれる。
え、俺の顔に何かゴミでもついてますか?
487 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/12(月) 23:20:30.49 ID:RNLP1A2SO
――脳裏になぜか阿部先生がよぎる。
えええ、現れないでくださいよ。頼みますから。
…というか、阿部先生が思い浮かぶってことは深層心理が俺に警告してるってことか……何かしらの。
…って、あの、阿部先生ってことはその…。
一つしか思い浮かばない件。
489 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/12(月) 23:22:43.16 ID:RNLP1A2SO
身の危険を感じた俺は慌てて内藤を黙らせる。
言わせちゃダメだ。言わせちゃダメだ。
('A`)「な、内藤、頼むからその先言うなあああ!!」
( ^ω^)「ちょ、やめろお。……最近…」
('A`)「言うなああああ」
( ^ω^)「…最近さくらんぼナースやってないことに気付いたんだお」
('A`)
498 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/12(月) 23:29:06.06 ID:RNLP1A2SO
はいはい俺の心配損でした。ふふ、これも阿部先生のせいだ。俺の脳は知らぬ間にあの人に毒されてしまったんだ……!
('A`)「…ウツダシノウ」
( ^ω^)「ちょ、早まるなおー!!」
そんなこんなで昼休みは終わっちまいました。
500 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/12(月) 23:35:17.78 ID:RNLP1A2SO
( ^ω^)「次の授業は古典だお。情報の先生は兄者先生だったおね。あの人ちょっと厳しいから嫌だおー」
('A`)「なぜ説明口調か分からないがとりあえず同意」
パソコンは得意な方なのだが、あの人の授業の基はほぼブラクラについてだから正直ついていけない部分がある。
ブラクラ踏んだりウィルスに感染させたり、って…普通あるかよ!
502 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/12(月) 23:38:20.03 ID:RNLP1A2SO
ξ゚听)ξ「あ、ドクオと内藤ー! 今日の情報なくなったって、アンタ達知ってた?」
('A`)「kwsk」
ξ゚听)ξ「これ嫁」
ツンの手には一枚の紙。
そこには手書きでこうかかれていた。
『弟者が風邪引いたから帰る』
おいおいおい、どんだけジャイアンだよ!
503 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/12(月) 23:41:56.69 ID:RNLP1A2SO
ξ゚听)ξ「というわけで五十分間自習よ。自習っていっても監督にこれる先生いないらしいから休みになったも同然ね」
('A`)「マジすか!」
やったね。正当な理由でさぼれるなんてめったにない。
何をしようか?
**選択肢発生**
1.教室にいる
2.外に行く
3.職員室へ
4.保健室へ
5.屋上へ
>>510
529 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/12(月) 23:51:06.22 ID:RNLP1A2SO
屋上へ行くことにする。
雪降ってるけどな! 自殺行為だけどな!
('A`)「いっちょ行きますか」
マフラー巻いたから防寒は完璧…のはずだ。
――…
扉を開けるとキィ、と嫌な音。
('A`)「ぬああ! さみぃ…!」
532 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/12(月) 23:55:51.57 ID:RNLP1A2SO
当然だがここには誰もいない。
('A`)「まあ、たまにはこう新鮮な風を吸うのも良いよな」
自分を騙しながら丁度良い高さの段差に腰掛けた。
('A`)「あー…風がうまいぜー」
すう、と息を吸ってみた。が、容赦なく雪が入って来て慌てて口を閉じる。
('A`)「……まあ、なんだ」
言葉は続かなかった。
('A`)「こういうのも、オツなんじゃないかっていう…」
ある一つの疑問が浮かんだ。
何 し て ん だ 俺 ?
536 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/12(月) 23:59:05.83 ID:RNLP1A2SO
('A`)「ナンデイルンダロウネー」
あはははは寒いよー
雪がね、耳ん中入ってる気がするよ。だってとっても冷たいんだもん、
ひひ寒いよ寒いよ寒いよ寒いよ…あははhさm…ヒヒヒヒヒャヒャヒャヒャ
俺が本格的に壊れ始めた時だ。
「まさか本当にいるとはな」
543 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/13(火) 00:02:06.82 ID:bgybcHUqO
('A`)「え?」
振り返ってみる。
そこには、何とまあ期待していた人が。
体をガタガタ震わせながら扉の前に立っていた。
川 ゚ -゚)「こんな雪の日に、馬鹿じゃないのか」
('A`)「い、いきなり馬鹿ってお前」
川 ゚ -゚)「とりあえず中に戻って来い。寒くて堪らん」
クーが病み上がりだったのを思いだし、俺たちは急いで中へ戻った。
551 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/13(火) 00:05:06.34 ID:bgybcHUqO
川;゚ -゚)「寒い、寒い!!」
中に入ってもクーは震えていた。
とりあえずマフラーを巻いてみる。
川*゚ -゚)「…あったか」
クーはマフラーをお気に召したようだ。
川 ゚ -゚)「お前がいなくなったから気になって抜け出してみたが、まさか屋上にいるとはな」
怒ったような呆れたような口調のクーに、俺は何も言い返せない。
554 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/13(火) 00:07:44.57 ID:bgybcHUqO
川 ゚ ー゚)「まったく、話そうと思っていたのにこんなところじゃ落ち着けないじゃないか」
あーそれはすまんかったね。
その前に、疑問一つ、
('A`)「よくわかったな。俺が屋上にいるって」
クーは少し考えて、にこりと笑う。
川 ゚ ー゚)「この前一緒にさぼっただろ? だから何となく来てみたんだ」
557 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/13(火) 00:09:23.84 ID:bgybcHUqO
('A`)「そうっすか…」
頭の中に俺がどこにいるのか考えているクーが想像できて何となく笑える。
川 ゚ -゚)「む、ドクオ」
急に俺の手を掴むクー。なんだ一体。
558 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/13(火) 00:12:12.35 ID:bgybcHUqO
川 ゚ -゚)「冷たい、冷た過ぎるぞ!」
('A`)「…結構外いましたしね」
無駄といえるくらい長く。ああ、本当馬鹿みたいだ俺。
川 ゚ -゚)「…どうしようか、ドクオが冷たいままじゃ嫌だ」
('A`)「……」
**自由記述発生**
手、このまま握っててくれ
580 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/13(火) 00:20:16.75 ID:bgybcHUqO
心配そうに俺を見つめるクー。いや、そんな顔しないでくれ。
…わがまま言いたくなるだろうが。
('A`)「あ、あのさ」
川 ゚ -゚)「ん? 何でも言ってくれ」
('A`)「手、このまま握っててくれないか?」
川 ゚ -゚)「お安いごようだ」
クーは両手で包み込むように俺の手を握る。細い指一本一本にぎゅ、っと力がこもる。
589 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/13(火) 00:27:16.51 ID:bgybcHUqO
しばらくの時間が経っただろうか。
…正直に言おう。俺の手はまったくあったまっていない。
もともとそうなのかクーの手は冷たく、これでは互いを苦しめているだけだ。
川;゚ -゚)「なんでだ?」
それでも躍起になって暖めようとしてくれるクーがいじらしいような、可愛いような。
595 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/13(火) 00:30:25.69 ID:bgybcHUqO
('A`)「もう大丈夫だ」
そっと手を解く。
川 ゚ -゚)「…あ」
名残惜しそうに呟くクーに、俺の願望は膨らむばかりだ。
…言ってしまっても良いだろうか?
川 ゚ -゚)「…まだ、全然だったじゃないか」
クーは唇を尖らせた。
('A`)「心がほかほかだバーロー」
川 ゚ -゚)「…ちぇ」
――あー、もう我慢出来ないかも。
605 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/13(火) 00:34:24.83 ID:bgybcHUqO
ぐいっとクーを引っ張った。
川;゚ -゚)「わわわ!」
クーの頭は俺の胸辺りにぽすんとあたる。
川#゚ -゚)「何をするんだ!」
クーの声を無視して、俺は腕を伸ばし背中を引き寄せた。
川 ゚ -゚)「お前…」
('A`)「やっぱ…こっちの方が暖まるかな、と」
川*゚ -゚)「…最初からそうしておけば良かったんだ」
そろそろとクーも手を伸ばし、絡み付く。
俺たちは授業終了の金がなるまで暖めあった――もとい、抱きしめ合っていた。
618 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/13(火) 00:39:17.55 ID:bgybcHUqO
――…
まあ、とりあえずあれだ。
よくよく考えると恥ずかしい行動だったな、と。
そんな反省をしている今は授業中。あの後何となく気まずいまま帰って来た俺たちはそのまま自分の机に座った。
内藤から好奇の目でにやにや見られたが、それはもういい。
振り返ってみると顔から火が出るくらい恥ずかしいのだが!
625 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/13(火) 00:42:48.28 ID:bgybcHUqO
まあ良い! 過ぎたことは仕方がない!
…え? やらしいことしなかったのかって?
ばばばバカヤロ! 俺は断じてそんな気持ちなど…!
…あったけども。
クーの体の柔らかさとかが、長い髪から惜しみ無く流れるシャンプーの香りだとか。
思い出すと、たちそうだ。…気持ち悪いNE、俺。
171 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/16(金) 01:39:25.46 ID:N83MiPWrO
――…
そんなこんなであっという間に放課後。最近時間が経つのが早いような遅いような…変な感じだ。
『またなー』『じゃあまた明日ね』『一緒帰ろうぜ』『部活早くいこー』
毎度のことながら帰りのHRのあとのクラスは騒がしい。
…それにしても、これからの目的がはっきり決まっているのは大変うらやましい。
なぜかというと、
('A`)「これから何しようかな…」
俺がこんな状態だからだ。
172 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/16(金) 01:40:18.31 ID:N83MiPWrO
いや、だって部活やってないですしね。趣味は…エロゲくらいしか思い出せない。バイトも勇気がでなくて応募出来ないままだ。
…バイト、ねえ。
そういえばそうだ。俺、バイトしようと思ってたんだ。
鞄の中をごそごそ漁ってみる。
中敷きの下に若干しわくちゃな履歴書を発見した。
(;'A`)「な、なつかしい…!」
なぜかって貼られた証明写真が一年前のものだったからだ。
173 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/16(金) 01:40:54.57 ID:N83MiPWrO
やる気なさそうな一年前の俺。こんな顔じゃ絶対落ちるだろ…常識的に考えて…。
「……ぷっ」
(;;'A`)「……ッ!?」
みみみ見られたア!?
ξ;゚听)ξ「あ、ごめん」
振り返ると気まずそうに笑うツンがいた。
(;;;'A`)「おおおお前!?」
174 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/16(金) 01:41:30.55 ID:N83MiPWrO
ξ;゚听)ξ「いや、アンタにも働く気あるんだなあって。そう思ったらちょっと気になっちゃって」
(;;'A`)「にににニートちゃうわ!!」
ξ゚听)ξ「そこまで動揺しなくてもいいじゃない」
ツンはくすりと笑う。
('A`)「う、だって…」
俺がバイトってイメージ合わなくないか?
イメージとかどうでもいいこと限り無き、…なのだけれども何となく気恥ずかしい。
175 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/16(金) 01:42:31.43 ID:N83MiPWrO
ξ゚听)ξ「あ、そっか」
ピコーン! とツンの頭上に電球が……ってベタだな。
('A`)「なんだ? なにを発明したんだ」
ξ゚听)ξ「ばか、発明なんかじゃないわ。アンタがそんな態度とる理由、分かったのよ」
('A`)「え?」
いや、分かったとしてもそこまで喜ぶことじゃないと思うんだが。
176 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/16(金) 01:44:21.18 ID:N83MiPWrO
ξ゚听)ξ「アンタ、面接落ちたんでしょ」
('A`)「………」
受けてもないんだが。
ξ゚听)ξ「だからそんな態度だったのよ! あたしにばれるのが嫌だったのねえ?」
にんまりと笑うツン。…悪魔みたいだ。
('A`)「いや、あのですね」
177 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/16(金) 01:47:59.37 ID:N83MiPWrO
ξ゚听)ξ「そうだ! あんたこれから暇?」
('A`)「なんで?」
ξ゚听)ξ「バイト紹介してあげようと思ったのよ! あたしの中学の時の先輩が働いてるんだけど、最近人手不足らしいから」
('A`)「ほっほう」
ξ゚听)ξ「これから見るだけみてみない?」
('A`)「おー、分かった」
そんなわけで俺は放課後の予定ができたわけだ。
178 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/16(金) 01:51:07.92 ID:N83MiPWrO
――…
ツンの言う店は高校からわりと近いらしい。わりと、と言っても歩いてすぐというわけでなく自転車で十分くらいだそうだ。
ξ゚听)ξ「…ってあたし今日歩きできちゃってたわ…忘れてた…」
俺は――
**選択肢発生**
1.じゃあ歩いてこうぜ
2.じゃあ後ろ乗ってけ
3.じゃあ今日は中止しよう
>>183
185 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/16(金) 01:55:35.18 ID:N83MiPWrO
('A`)「じゃあ歩いてこうぜ」
ξ゚听)ξ「え、良いの?」
('A`)「おう。運動不足だし、な」
ξ*゚听)ξ「…ありがと…」
てくてくと俺たちは歩いていく。
186 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/16(金) 01:57:42.36 ID:N83MiPWrO
すると、
「ちょっと待ってくれるかな?」
後ろから呼び止められた。
振り向くと――
(´・ω・`)「キミたち、規則は守ろうね」
にっこりと意地の悪い笑みを浮かべるあの男。
187 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/16(金) 02:00:43.27 ID:N83MiPWrO
('A`)「あ、…えとたしか…」
名前なんだったけ。…まあいい。
そんなことより、もっと危険なことに気付いてしまった。
…こいつから連想させるワードはひとつしかないのだ。
――ガチな人。
(´・ω・`)「あの時はどうもね(はぁと」
('A`)「は、はあ…」
ξ゚听)ξ「え、アンタ会長と知り合いなの?」
いや、知り合いといいますか知り合わされているといいますか……って、え?
会長?
31 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/18(日) 00:08:17.89 ID:tznMbXS7O
会長。この言葉を聞いて思い浮かぶのはあの役職しかない。『学校』と、こいつが一個上というキーワードを追加すれば答えは明瞭だ。
('A`)「お前、生徒会長だったのか」
(´・ω・`)「まあ『元』だけどね」
確かにな。この時期どんな部活でも高校三年生は、引退して大学受験に専念している。
いまこの時間暇そうにここに突っ立ってるこいつはあらかた推薦で決まっているのだろう。うらやましい話だ。
ξ゚听)ξ「あんた、去年のこと覚えてないの? すごい差つけてショボン先輩が勝ったのよ」
(´・ω・`)「その時のことを言われると照れてしまうよ」
いや、照れるな。気持ち悪いから。むしろ早く消え去って欲しい。
32 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/18(日) 00:08:54.99 ID:tznMbXS7O
というかあれだな。こいつが会長だからこの学校に危ない傾向に偏って来てると思うんだが。これは言い過ぎだろうか。いや、大丈夫だろう。
……さっきからなぜ毒舌なのか説明しようか。
理由は簡単だ。『阿部先生』
俺はこの名前に恐怖すら覚えている。だからこいつのようにあの単語を臭わす奴に極力近付かないようにと心に決めたのだ。たしか昨日の夜くらいに。
(´・ω・`)「話を戻そうか」
にこりと微笑をたたえながら近付いて来た。気持ち悪い。と同時に恐怖だ。
(´・ω・`)「会長として、注意せざるをえないからね」
わざわざためるな、さっさと要領を言え。
('A`)「……なんの話ですか?」
34 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/18(日) 00:10:04.64 ID:tznMbXS7O
(´・ω・`)「不純異性交遊禁止……と校則に決まっているのは知ってるかい?」
('A`)「いや、初めてですね」
生徒手帳に書いてあるんだっけか。一回も見たことがない俺がいる。
(´・ω・`)「決まっているんだよ。……で、君たちはそれに当たるんじゃないかと思うんだ」
(;'A`) ξ;゚听)ξ 「ええ!?」
いやいや、いくらなんでもそれは早漏過ぎるだろうが。一緒に歩くのもだめなのかよ。
というようなちょっと強めに旨を伝える。
――一瞬の間
(*´・ω・`)「べっ、別にヤキモチなんかじゃないんだから!!」
…はいはいツンデレツンデr……うわあああああああ!!!!1
恐怖からか驚きからか、涙と鼻水が止まらない。
35 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/18(日) 00:10:37.84 ID:tznMbXS7O
(´・ω・`)「で、実際突き……付き合ってるのかい? 君達」
ξ*゚听)ξ「なっ! なに言ってんのよ馬鹿じゃないのっ?!」
('A`)「ちょ、この人一応先輩だからな?」
ξ////)ξ「だ、だってぇ…」
ぷしゅう、と勢いが抜けたみたいに黙って耳を真っ赤に染めて下を向くツン。
――俺は
**選択肢発生**
1.そんなツンを見て自分まで恥ずかしくなった
2.堂々と違うと伝える
3.逃げ出す
>>42
46 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/18(日) 00:17:28.20 ID:tznMbXS7O
俺ははっきりと違うと伝えた。そうでもしなきゃ、このまま連行されて怪しげなことをされてしまいかねない。
されてしまったら…ああ、こういうことを考えたくない。だが、きっとお日様を見れなくなってしまう。
(´・ω・`)「そうか。良かった良かった」
端正な顔立ちを怪しげに笑わせ、
(´・ω・`)「じゃあこれで僕は失礼するよ」
ショボンは別れを告げて来た。願ったり叶ったりなのは言うまでもない。
49 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/18(日) 00:20:56.19 ID:tznMbXS7O
('A`)「さ、行くか」
とんだ邪魔が入ってしまったな、ははは。
……と笑える雰囲気ではなかった。
ツンは立ったまま動こうとしない。肩を小刻みに震わせ、まるで涙を堪えているようだった。
('A`)「つ、ツン……?」
ξ゚听)ξ「そ、そんなにあたしと恋人っていうのが嫌なの…?」
('A`)「え、いや…」
決してそんな意味ではなかったのだ。すべては阿部系フラグ回避のためだ。
55 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/18(日) 00:25:15.64 ID:tznMbXS7O
ξ;;)ξ「あ、あたし今からすごい馬鹿なこと言うけど、許してね…っていうか…もう……ごめん」
そのままツンは泣き出した。時折小さなしゃくり声を上げて涙を零す。
泣いていてもツンは綺麗だと思ってしまった俺は阿呆なのかもしれない。
('A`)「あ、その、お前……」
そろそろと手を伸ばす。だかどこに着地していいか分からず、空中に停止した。
ξ;;)ξ「う…あたし、ばかみたい…」
57 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/18(日) 00:29:39.55 ID:tznMbXS7O
('A`)「ばかなんかじゃ…ねえし…、その…」
ああ、こういう時俺はどうしたら良いのだろう。なんて声をかけたら良いのだろう。
完全にスペックと経験不足だと思う。ゲームだったらなんて言うんだ、って必死に記憶を辿る自分が情けない。
('A`)「だから…ツン…」
ξ;;)ξ「最近、ドクオ仲良いから――」
ツンが悲しそうに微笑む。
ξうー;)ξ「嫉妬が…たまっちゃったのかもしれない……」
60 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/18(日) 00:36:29.96 ID:tznMbXS7O
う听)ξ「って、さっきのショボン先輩みたいじゃない…あはは」
('A`)「ツン……」
とりあえずポケットの中から発見したハンカチを渡す。いつから入っていたか不明だ。しかもヘリカルのハンカチ。
…だが、まあ良い。
ξつ听)ξ「ありがと…、もう大丈夫だから……」
('A`)「ああ…」
頭の中に言葉が浮かぶ。
言って良いのだろうか。分からない。
ξ゚听)ξ「ごめん。このまま真っ直ぐ行けば本屋があるから…、だから今日はあたし帰るね…ごめん…」
ツンは弱々しく笑った。それを見て泣きそうになる俺。
何やっているんだろう。
('A`)「分かった…あの、その…」
**選択肢発生**
1.ごめんな
2.そういうつもりじゃなかったんだ
3.明日話そう
>>63
64 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/18(日) 00:41:49.10 ID:tznMbXS7O
('A`)「明日話そう、な? 今じゃ落ち着いて話せないだろうから…さ」
ξ゚听)ξ「…ごめん、ね。あたしから誘っといて…」
('A`)「無理しなくて大丈夫だ」
無理をさせた原因と思わしき俺が何を言うんだろう。
ξ゚听)ξ「うん…じゃあ、また明日ね」
('A`)「ああまた明日な」
心の中に新たな重みが増えた気がした。
――いろいろ考えなきゃいけないことが。
――あいつのこと、自分のこと。
――ちゃんと向かい合わなきゃいけない。
66 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/18(日) 00:46:55.30 ID:tznMbXS7O
ツンと別れたあと、言う通りに真っ直ぐ歩いた。途中やっぱり自転車に乗っておけば良かったと気付いたが、ここまで来てはもう戻れないと踏み止どまった。
で、現在の俺がここにいる。
('A`)「さすがにちょっと疲れたような気がする…」
華の高校生が何を言うんだ。
…いやいやエロゲばっかしている奴ですよ? 華なんて多分散ってます。
('A`)「…ここか?」
本屋って言ってたよな。なら間違いなくここは本屋だ。
看板には『VIP書店』とカジュアルなデザインで書かれている。
67 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/18(日) 00:50:29.77 ID:tznMbXS7O
初めて見た本屋だ。いつも駅前を利用しているから、ちょっと離れたところにあるここを知らなかった。
結構大きいみたいだ。扉の横に求人広告が貼られている。なるほど、本当に人手不足のようだ。
怖々と扉を開けた。初めての場所って、何となく入りにくい。
('A`)「失礼しまー…」
もふっ!!
なにか柔らかいものが頭に押しつけられている。
71 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/18(日) 00:57:15.53 ID:tznMbXS7O
一体今のはなんだったのか。俺は答えをすぐに知ることになる。
从;゚∀从「わわ、ごめんなさいねえ、いきなりのことで驚いちゃったのー」
目の前に、ものすごくスタイルの良い女性。
…というか乳がでかすぎる。
それに俺の背が低いということがあるのだろうが、彼女は俺より背が高く、溢れんばかりの豊乳が俺の顔あたりにあるのだ。
これは…かなりおいしかった。
72 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/18(日) 01:00:27.31 ID:tznMbXS7O
もっと堪能しとけば良かったと阿呆な考えをおこしていると、セクシー美女が会釈をしてくれる。
从 ゚∀从「失礼しましたぁ。いらっしゃいませ」
('A`)「あの、俺今日バイトに……」
从 ゚∀从「えぇ? もしかしてツンちゃんから?」
('A`)「あ、はい。そうです」
この人とツンは知り合いなのか。二人で歩いたら大変なことになりそうだな。
通行人鼻血出ちゃうよ。
74 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/18(日) 01:04:09.01 ID:tznMbXS7O
从 ゚∀从「きゃあ嬉しい!!」
感激の余りか、美女にむぎゅっと抱き付かれる。
('A`)「っ…わわ、ちょ、あの!」
こういうのにめっきり慣れていないせいか口がうまくまわらい。
つか胸がですね、むにゅむにゅ当たっているのですよ。
163 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 00:25:11.94 ID:MtbFRkn+O
('A`)「あの、あのですね……」
大変美味しい状況であるのは考えるまでもなく間違いないのだが、さすがに知り合いと呼べるかどうかもあやふやな女性の胸にいつまでも顔をうずめているわけにはいかない。
いや、実の所別に構わないという気持ちの方が強いのだが……うわ何をするやめr
そんなわけでだ。
至福の時間から解放され、俺は本屋の控え室に通された。微妙に狭い部屋にはエプロンがかかっているクローゼットがまず目を引く。
从 ゚∀从「とりあえずお茶のまない?」
('A`)「あ、すいませんお願いします」
喉が渇いていたことを見抜いていたのだろうか、はたまた形式に習ってなのか。どちらにせよこの人は大人だという印象を受ける。
从 ゚∀从「熱いから気をつけてね」
ことん、と軽い音を立てて湯飲みが置かれた。ほくほくと湯気が立ちのぼっている。
('A`)「いただきます」
164 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 00:28:10.27 ID:MtbFRkn+O
甘いような渋いような、ともかく丁度良い感じのお茶を一口すすった時だ。
女性がふんわりとまぶしげな目線を俺に向けて来た。
从 ゚∀从「あなたが、ドクオ君なのね」
なんの再確認だろうか。
从 ゚∀从「あ、申し遅れたわね。あたしは高岡。あなた達の一個上なのよ」
('A`)「え、高校生なんですか」
しかもたった一つしか変わらないなんて。
从 ゚∀从「うふ、それ失礼じゃなあい? 老けてるってことー?」
(;'A`)「いや、そんな意味では決してないです」
雰囲気の問題なんです。本当に。
从 ゚∀从「別に怒ってないわよ。ドックンかーわーいーい」
ぷにぷにと頬をつつかれた。勝手に変なあだ名つけんな、なんて言えるわけもなく俺はされるがままになっていた。
あ、もっとつついてください、なんて変な趣味は俺にはないからな。念のため。
从 ゚∀从「で、いつから働けるのかなあ? わたしの親がこの店のオーナーだから、働く気があるなら即採用よ?」
166 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 00:33:33.06 ID:MtbFRkn+O
それは大変ありがたいことなのだが、今日はあくまでも見学だということを分かってもらわなくては。
('A`)「かくかくしかじか」
从 ゚∀从「把握」
うん。小説って便利だよな。
从 ゚∀从「じゃあとりあえず今日は体験就職、みたいなことしてみようか」
俺にエプロンを手渡しながら高岡さんは言った。
从 ゚∀从「ちょうど今日は人がいなくて困ってたの。ちゃんとお金もあげるからね」
('A`)「それはありがたいです、はい」
金欠だったという理由が一番大きいが、なによりも暇な時間を潰せると言うものだ。
从 ゚∀从「そのエプロンつけて。そしたら仕事入りましょう」
もし俺に姉がいたらこんなふうに笑うのだろうか。そんな風なことを思わせる微笑みだった。
167 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 00:35:34.73 ID:MtbFRkn+O
――…
从 ゚∀从「いらっしゃいませカバーはおつけいたしますか?」
客「あ、いいです」
从 ゚∀从「かしこまりました。千百円になります。…丁度頂きます。レシートはどうされますか? …はい、どうぞ。ありがとうございました!」
('A`)「あ、あり……」
从 ゚∀从「いらっしゃいませこんばんは」
わずか数分のうちに悟りました。
こ れ は 無 理 か も 分 か ら ん ね
从 ゚∀从「そんなことないよ」
丁度レジラッシュが終了した時だ。高岡さんは笑顔で励ましてくれた。
从 ゚∀从「慣れればどうてことないよ」
('A`)「そうですかね…」
168 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 00:37:03.17 ID:MtbFRkn+O
从 ゚∀从「自信喪失が一番良くないよ。肩の力抜いて……ね?」
気のせいだろうか。すっと楽になったような気がする、
('A`)「頑張ります」
从 ゚∀从「うふふ、ドックン単純w」
笑わないでくださいよ――言いかける前にお客さんが入って来て慌てて口をつぐんだ。
171 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 00:40:00.40 ID:MtbFRkn+O
――…
从 ゚∀从「今日はありがとねっ!」
はいこれ、と手渡されたのは茶封筒。
('A`)「いや、俺ぜんぜん役に立たなかったし」
从 ゚∀从「いいのいいの。そんなことより真剣に考えてくれない? ここで働くかどうか」
('A`)「……はい!」
ありがたく受け取っておくとしよう。
失礼します、と帰ろうとしたとき――
从 ゚∀从「ちょっと待って」
173 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 00:42:13.29 ID:MtbFRkn+O
从 ゚∀从「ねえ…今日ツンちゃんとなんかあったでしょ?」
('A`)「……、え?」
从 ゚∀从「だってドックンツンちゃんの話すると分かりやすいくらい戸惑うんだもん。…で? 何があったの?」
(;'A`)「いや、…その…」
言いたくなかった。
いくらこの先輩とツンが仲良くてもこれは言ってはいけないだろう、と。
175 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 00:44:33.44 ID:MtbFRkn+O
从 ゚∀从「言わないつもりなのね。で、も一つ質問」
俺はこの人が妖艶な笑みを浮かべているのに気付く。
一息ついて、
从 ゚∀从「ドックンって、……童貞?」
('A`)「え、?」
信じられない言葉だった。
179 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 00:47:17.39 ID:MtbFRkn+O
('A`)「いや、あの……」
何を言ってるんでしょうかこの人は。
さっきまでの『清楚なお姉さん』な印象は一気に崩れた。
从 ゚∀从「童貞…だよね?」
一歩一歩高岡が近付いて来る。
そう広くもない控室。逃げ場は……ない。
181 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 00:49:31.76 ID:MtbFRkn+O
从 ゚∀从「こう見えてもあたしね……?」
('A`)「は、はい…なんでしょう」
从 ゚∀从「童貞クン、大好きなんだよ」
ぴたり。
背中が壁にくっついた。
从 ゚∀从「ドクオ君――」
高岡さんの吐息が感じられるほど顔が近付く。
――な、どうなってるんだよ。
186 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 00:51:55.32 ID:MtbFRkn+O
まったくもって理解できない。
俺はしびれたみたいに何も動けなくて、ただただ高岡さんの顔を見つめているしかない。
怪しげな微笑みの裏に何が隠れているのか。
分からない。
从 ゚∀从「疲れたでしょ? ちょっと横になってみようよ……ねえ?」
('A`)「……あ、の…」
189 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 00:54:04.84 ID:MtbFRkn+O
壁に背中を付き、すとんと座らせられる。
足の力が入らないというか、情けないほど素直に動いてしまった。
从 ゚∀从「……今日、出張でパパもママもいないの」
だから人手不足だったの、とどうでも良さそうに高岡先輩は付け足す。
从 ゚∀从「うふふ…」
194 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 00:56:51.89 ID:MtbFRkn+O
高岡はゆっくりと俺の上、ただしくは膝あたりに腰を下ろした。
折ってある俺の膝はさぞ座りにくいだろう。さあ、どいてくれ。
だがそんなことはおかまいなしに高岡さんは続けた。
从 ゚∀从「ねえ、ドクオ君…」
高岡さんの長めのスカートがふとももあたりにまでまくしあげられている。
200 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 00:59:00.39 ID:MtbFRkn+O
从 ゚∀从「童貞、」
ちょん、と俺のソコに触れた。
(;'A`)「…ぃっ…」
わずかな刺激に反応してしまう自分が悲しい。
从 ゚∀从「わたしにさあ…」
高岡さんはそろそろと腰を下ろしていった。
ともに、白いふとももがどんどんむき出しになる。
203 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 01:00:54.05 ID:MtbFRkn+O
从 ゚∀从「――くれないかなあ?」
言葉と同時、腰が俺のそこに着地する。
しゅる、と怪しい衣擦れの音とともに高岡さんの股がソコと触れる。
(;;'A`)「――う、」
柔らかい、感触。
210 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 01:02:56.16 ID:MtbFRkn+O
じょじょに快感がおしよせられてきた。
と、同時に快楽への欲望も。
从 ゚∀从「…ドクオ君」
――どうする、俺…
したい、したい………
我慢…出来ない…のか?
自問自答する。
この程度の奴だったのか、俺は――
218 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 01:08:12.72 ID:MtbFRkn+O
从 ゚∀从「ふふ」
高岡さんは前屈みになって、豊満な胸を押しつけてるように顔を近付ける。
耳にふう、と吐息がかけられ、俺は電気が通ったみたいに痺れた。
从 ゚∀从「童貞クンは、きっと我慢出来ないよ」
从 ゚∀从「捨てちゃいなよ、ね……?」
わずかに腰を動かされただけで、俺の息子はビンビンに反応してしまった。
俺は…、俺は……
**選択肢発生**
1.そのまま身を任せる
2.胸をわしずかみにする
3.勢い良く突き飛ばす
4.気持ちを伝える
239 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 01:12:05.76 ID:MtbFRkn+O
勢いよく突き飛ばした。
流されちゃいけない。俺は、こんなことではいけない。
从 ゚∀从「いったあ…」
('A`)「あ、その、大丈夫ですか?」
床に仰向けで腰を押さえる高岡さんに、思わず声をかけてしまった。
いやいや、原因はこの人だろう。
从 ゚∀从「ドクオ君、勿体ないことだよ?」
245 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 01:14:15.44 ID:MtbFRkn+O
――そう、多分これ、めっちゃ勿体ない。
('A`)「…でも、俺は……」
从 ゚∀从「胸くらい揉めば良かったのに」
('A`)「…いや、あのですねっ!?」
さっきから思っていたがこの人の言葉にはどこか真実みがたりない。
どこか、冗談のような…
ふわふわした、嘘っぽい言葉。
250 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 01:16:20.01 ID:MtbFRkn+O
('A`)「なにがしたいかよく分からないですけど……、あの、もっと自分の体大切にしたほうが……」
从#゚∀从「余計なお世話よ!」
近くにあったエプロンが床に叩き付けられた。
从#゚∀从「なによッ!なんなのよッ!ふざけんじゃないわよッ!!」
257 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 01:18:31.94 ID:MtbFRkn+O
从#゚∀从「どーしてよ! なんで誘いに乗らないの!? 俺はその程度の男じゃないって!? ふざけんなッ!!!」
ひとしきり叫ぶと高岡さんは床に突っ伏した。
从#゚∀从「あの子が…やけに最近楽しそうで…、わたし嬉しかったのに!! なのに、原因はあんたで!!!」
263 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 01:21:48.48 ID:MtbFRkn+O
从#゚∀从「しかも…あんたはツンの他にもいるみたいじゃない!? 特に最近はずっと不安定で! あたしじゃどうにもできなくて!!」
(;;'A`)「…ツン…?」
ツンがどうしたのだと言うのだろう。
何が、この人を怒らせているんだろう。
从;∀从「報われない…なんで…う…あ…くそお…」
嗚咽混じりで叫ぶ高岡に、何も言葉をかけることができなかった。
268 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 01:24:42.80 ID:MtbFRkn+O
从 ;∀从「ツン…、ツン……」
('A`)「こ、これ…」
おずおずと近くにあったティッシュ箱を差し出した。
受け取ってくれるか…不安ではあったが――
高岡さんは普通の動作で受け取る。
从 ;∀从「ツンを困らせてるくせに……ドクオ君、優しいだなんて、ずるい」
275 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 01:27:39.80 ID:MtbFRkn+O
从 ;∀从「報われない恋なんて、しなきゃよかったわ……」
独り言のようにつぶやくと、高岡はふらふらと立ち上がった。
从 ;∀从「…ごめんね。急に取り乱しちゃって……」
弱々しく微笑む。
さっきの狂気の色は消え失せていた。
从 ;∀从「あたし…馬鹿みたいだわ…。悪いけど、今日のことはツンに言わないどいてくれる?」
('A`)「…分かりました」
283 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 01:30:52.59 ID:MtbFRkn+O
安心してほしい。
軽々しく喋れるなんて、俺はそんな馬鹿じゃない。
从 ;∀从「そう…」
――…
从 ゚∀从「本当に……今日はごめんね」
('A`)「気にしないで、ください」
本当は気にして欲しかったが……こんなに儚げな人に酷な言葉は言えない。
从 ゚∀从「気をつけて、帰ってね」
ほっそりとした手が振られた。
314 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 01:51:32.03 ID:MtbFRkn+O
―――…
('A`)「…帰るかな」
('A`)「あ、自転車、学校……」
('A`)「………」
俺はとぼとぼと学校へ歩く。
考えてしまう。
ここのところずっとそうだ。
人が何を考えているか、何を望んでいるのか、何を拒絶するのか。
一人一人が違って、うまく隠しながら生きていたり、あるときふとしたきっかけで爆発してしまったり。
ああ、きっとそれがあるから今があり、明日があるのだな、と。
誰かの感情にふれるたびにそう感じてしまうのだ。
317 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/19(月) 01:54:28.85 ID:MtbFRkn+O
('A`)「自転車、発見」
もう夜遅く、とまではいかないがとっくにお日様が沈んでいる今。自転車を引き出すことは容易にできた。
('A`)「ヨッコラセックス」
自転車に乗り、目指すは家だ。
ヘリカルとカーチャンが待っている。
早く、帰ろう。
447 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/20(火) 19:32:28.02 ID:1fa/cHfTO
――…
*(‘‘)*「おかえりにーちゃあ!」
('A`)「おー…ただいま……」
*(‘‘)*「ふゆ? なんか元気ない?」
ヘリカルの丸い瞳が心配そうに俺の顔を覗きこんだ。
*(‘‘)*「にーちゃが元気ないの、ヘリカル嫌だからね……?」
('A`)「……」
*(‘‘)*「にーちゃあ!」
ヘリカルは俺に屈めと手を振る。その通りに俺はヘリカルと目線を合わせた。
('A`)「(こんなに小さかったんだよな……)」
448 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/20(火) 19:36:33.57 ID:1fa/cHfTO
しみじみ実感してしまう。こいつがあと十年しないうちに『お兄ちゃん近くに寄らないでよ』とか言ったりするのかなあ…。
いや、ヘリカルのことだ。いつまでも俺のことを好きでいてくれるだろう。
――ちょん。
('A`)「え?」
手が頭に乗せられた。
と同時に優しく撫でられる。
*(‘‘)*「いいこいいこしてあげる」
ヘリカルが悪戯っぽく笑った。
*(‘‘)*「だから、にーちゃ元気出して」
('A`)「……ん」
小さな手のひらだけど、力もらったぜ。
('A`)「ありがとな」
素直にそう思った。
449 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/20(火) 19:39:53.99 ID:1fa/cHfTO
*(‘‘)*「にーちゃが元気ないとき、ヘリカルいつでもいいこいいこしてあげるからねっ!」
('A`)「ああ」
そんな会話をしながら、俺とヘリカルは手をつないで食卓へ向かった。
――…
J( 'ー`)し *(‘‘)* 「おやすみなさい」
('A`)「おう。おやすみ」
時間はあっというまに過ぎるもので。
('A`)「パソコンいじってたら…もうこんな時間かよ……」
我ながら情けなくなるね。部屋にかかった時計は午前三時を指していた。
450 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/20(火) 19:42:48.17 ID:1fa/cHfTO
まあ、なんといいますか。
('A`)「2ちゃんねるの怖さは異常」
時間を忘れてしまうくらい面白いんだよな。夏休みなんかエロゲと2ちゃんねるを並行でやってたし。
俺廃人候補だな。いや、もうすでにか。
('A`)「ん? メール?」
ベッドの上に放り投げられた携帯のランプがちかちかと光っている。
('A`)「誰からだろ、こんな夜遅くに……」
451 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/20(火) 19:45:50.77 ID:1fa/cHfTO
差出は…知らないアドレスからだった。
@マーク以前が適当な数字と英語が組み合わされている。これは間違いなく初期設定なままだろう。
('A`)「本文…本文…、と」
―――――――――
ないとうからおまえ
のあどれすをきいた
。ききたいことがあ
る。あしたはやくこ
れないか?
―――――――――
('A`)「だから誰だよ! しかもなんだこの暗号文!!」
452 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/20(火) 19:49:23.84 ID:1fa/cHfTO
ひらがなをそのまま読むとまあ意味は通じる。
内藤からアドレス聞いたってことは知り合い…なんだよな。
でも間違いメールかもしれねえし…。
いや、そんなことはないだろう。
とりあえず差出人は俺に話があるから早く学校来て欲しいんだよな?
…うわ、ただのメールでここまで頭使うなんてマンドクセ……。
('A`)「返事…送るか」
*自由記述発生*
メールの本文
把握した
465 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/20(火) 19:56:25.01 ID:1fa/cHfTO
誰なのか聞きたいところではあるが、まあとりあえず……
『把握した』
こう送っておけばおkだろう。
('A`)「しかしこの文章…あいつっぽいないよな」
そうあいつ。機械苦手そうだし。
川 ゚ -゚)『失礼な!』
妄想の中のクーが唇をとんがらせている。
メールの人がクーじゃなかったら彼女にごめんなさいしきゃいけないね。
467 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/20(火) 20:00:29.49 ID:1fa/cHfTO
返信はすぐに……なんてことはなく、十分近く待たされた挙句また例の暗号文だ。
――――――――
よかった。ではき
ょうしつでまって
いる。わたしはけ
っこうはやめにい
くつもりだからよ
ろしくな。
――――――――
('A`)「これどこを縦読み?」
なんて冗談はさておき。
把握したと言ったんだ。俺は早く起きなきゃならない。
('A`)「つまりもう寝なきゃならぬということだ」
パソコンのスイッチを切ってベッドにダイブした。もちろん目覚ましもちゃんとセットした。抜かりはないぜ。
しばらくすると意識はすいこまれるように消えてった。
――四日目終了
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