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25 :愛のVIP戦士 :2007/02/23(金) 20:41:06.58 ID:qVfvVV3XO
('A`)「しない」
俺はクーにきっぱりと告げる。
もちろんしたくないといえば嘘になるし、息子が熱くなってきているのも気のせいではないだろう。
――だが、
('A`)「こんな……こんなお前とは、出来ないッ」
お前とは、もっとちゃんとしてからなんだ。
俺はまだ言えていない。あの言葉を――
川 ゚ -゚)「………馬鹿」
27 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 20:44:31.80 ID:qVfvVV3XO
川 ゚ -゚)「馬鹿者だ! お前は本当にッ……!」
('A`)「クー…」
川 ゚ -゚)「……いや、すまなかった……私は……何を言っているのだろうな」
クーは俺からどくと、ふらふらと自分の机に座る。
('A`)「待てよ」
クーの細い手首を掴む。
('A`)「お前…何があったんだよ!」
29 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 20:48:07.56 ID:qVfvVV3XO
川 ゚ ー゚)「知って、どうにかなることだったらとうに話しているさ」
あざけるような笑いを浮かべるクーに、ふつふつと怒りが込み上げる。
('A`)「お前……変だぞ」
川 ゚ ー゚)「………」
すっ、とクーが立ち上がった。
('A`)「まだ話は終わってないぞ」
32 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 20:50:45.79 ID:qVfvVV3XO
川 ゚ ー゚)「私にはない」
('A`)「……俺にはある」
川 ゚ ー゚)「聞く気はない」
('A`)「クー!」
俺の制止もきかず、クーは扉へ歩く。
('A`)「クー! なんなんだよ急に…! 俺は! 俺はお前が――」
クーが、振り返った。
36 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 20:54:27.32 ID:qVfvVV3XO
川 ゚ -゚)「もし覚悟があるなら」
覚悟? なんのことだ?
川 ゚ -゚)「お前が理解する覚悟…があるのなら……」
クーの瞳から雫がこぼれた。
川 ; ー;)「明日の朝……私の家に来い……」
綺麗な笑顔だった。
43 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 21:07:46.44 ID:qVfvVV3XO
――…
('、`*川「ドクオ君、いるか?」
('A`)「……ペニサス先生」
クーがいなくなった後、俺は教室にいた。静かなのは誰もいないのだから当たり前だが、何となく寂しいような気もする。
そんなことをふと思っていた時にペニサスの訪問があった。
44 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 21:10:21.72 ID:qVfvVV3XO
('A`)「なんすか? 部活はどうしたんすか?」
ペニサスはバスケ部の顧問だ。そして今は朝練の時間。こんなところにいて良いのだろうか。
('、`*川「ふたつ、君に話があってね」
ペニサスはにこっとウインクをする。
違和感がないのはこの人の美貌ゆえだろう。
('、`*川「ちょっとだけ、時間くれるかい?」
46 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 21:14:04.83 ID:qVfvVV3XO
('A`)「はい。構わないです」
断る理由は特にない。
('、`*川「あまり時間はとらせない……ように頑張るよ」
俺は小会議室に行くことになった。
――…
('、`*川「なんか飲むかい?」
小会議室の隣りには給湯室。
いつも思うが教師ってコーヒーやら茶やらを飲み放題だよな。
47 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 21:19:07.96 ID:qVfvVV3XO
('A`)「いや、結構です」
正直胃が受け付けなかった。
('、`*川「そうか、ふむ。では話そう」
広いテーブルの端に向かい合って座った。
('、`*川「ひとつめは、お前と同じクラスのクーのことだ」
('A`)「クー…ですか」
何となく予想は付いていたのだが、あまり触れて欲しくない部分だった。
48 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 21:21:46.62 ID:qVfvVV3XO
('、`*川「こんな朝早くから来ておいてクーはもう帰るらしい。理由を聞いても答えない」
ペニサスはためいきをついた。
('、`*川「まさかあんなに頑固な子だとは思わなかったよ」
('、`*川「理由はなんだろうと教室に行ってみたら――君がいた」
('A`)「………」
('、`*川「知っているのなら教えてくれないか?」
**選択肢発生**
1.知っている限りのことを話す
2.黙秘
59 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 21:29:01.65 ID:qVfvVV3XO
('A`)「言わない…です」
('、`*川「だろうな」
('A`)「言わないのをわかっておいて聞いたんですか?」
('、`*川「いや、君達の結束は強いように感じてな……」
――結束。
そんなもの、あるのだろうか。
否、俺は感じていたはずだ。別の意味のつながりを。
クーは、どうだったんだろう。
60 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 21:33:15.99 ID:qVfvVV3XO
('、`*川「まあこのことは良いんだ。君達は若いからな。葛藤し、涙し、最後には喜び合う。それでこそ青春だ」
はははと豪快に笑うペニサス。見透かされているような、ないような。
('、`*川「で、クーには悪いのだが私にとってここからが本題なんだ」
('A`)「クーは怒らないと思いますよ。……で、何でしょうか」
('、`*川「君は明日暇か?」
63 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 21:35:45.60 ID:qVfvVV3XO
('A`)「明日、ですか」
――私の家に……
('A`)「正直何とも言えないっすね……」
('、`*川「…そうか。私は無理は言わない。だが、これはぃょぅのことなんだ」
――ぃょぅの?
この前のことを思い出す。
――絶対、先輩とバスケするんですょぅ――
('A`)「ぃょぅが、どうしたんですか!?」
64 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 21:38:45.21 ID:qVfvVV3XO
ぃょぅは大切な仲間だ。ぃょぅを心配に思うのは当たり前のことだ。
('、`*川「ぃょぅは昨日、怪我をした」
('A`)「――え?」
('、`*川「練習中のことでな……事故……いや、作為があった」
作為って、どういうことだ。
('A`)「……そんな遠回しにしないで、言ってくれよ」
敬語なんてしらねえ。
65 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 21:41:48.89 ID:qVfvVV3XO
('、`*川「ぃょぅがレギュラーなのは知ってるな?」
多少むっとした様子のペニサス。俺は無礼な態度を後悔した。
('、`*川「そのことを気に入らない一年が、いるんだ」
気に入らない、って。
何言ってんだ? そいつ、馬鹿だろ。
('、`*川「その一年は以前から友人に洩らしていたらしい」
『女なんかにレギュラー与えるなんて贔屓だ』
66 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 21:44:15.37 ID:qVfvVV3XO
('、`*川「もちろん私はそんなことはしない。無論、キャプテンもだ」
('A`)「当たり前…ですよ」
ぃょぅは努力していた。いや、しているはずだ。
血の滲むような努力で実力をつけていったんだ。
('、`*川「……その一年が昨日事を犯した。練習中にわざとぃょぅの足を蹴り飛ばしたんだ」
('A`)「――!」
怒りで言葉が出ない。
67 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 21:48:04.65 ID:qVfvVV3XO
今すぐそいつのところにいってはったおしてやりたい。だが、そんなことをしてどうる?
なんだっていうんだその一年は。自分の練習不足をぃょぅにぶつけて。
高校生にもなってなさけねえよ。
('A`)「ぃょぅは今、どんな状態なんですか?」
('、`*川「バランスを崩して足を捻挫した。幸い軽度だが、問題は」
('A`)「ぃょぅの、心?」
('、`*川「ああ」
68 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 21:51:14.26 ID:qVfvVV3XO
('、`*川「会ってくれないか? 慰めてやってくれ。笑わせてやって欲しいんだ」
('A`)「俺に期待するのは間違い…かもしれませんよ」
('、`*川「私は間違いじゃないと信じている」
心がじーんと痺れた。人に信じられる事の素晴らしさと責任。それが分かった。
69 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 21:54:35.48 ID:qVfvVV3XO
('A`)「明日…どうするか分かりません。でも、行きたいと思います」
明日は土曜日だ。時間はある。
('、`*川「少しだけでもいい。ありがとう」
ペニサスは立ち上がる。俺もそれにしたがった。
一緒に出ようとすると、
('、`*川「あ」
ペニサスが俺に止まれと合図した。
('、`*川「ドクオ」
ペニサスの顔が近付いていく。
('A`)「ちょ、あの…」
70 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 21:56:52.99 ID:qVfvVV3XO
ペニサスの唇は俺の唇に――ではなく耳に。
('、`*川「次期キャプテンがいるから会ってくれ」
こそこそと耳打ちされる。
('A`)「わ、分かりました」
俺は何を期待してたんでしょうね、まったく。
('、`*川「じゃあな、朝から悪かった」
('A`)「あ、さようなら」
ペニサスが出て行った次の瞬間――
72 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 22:03:08.01 ID:qVfvVV3XO
_
(#゚∀゚)「ドクオォォォォォォ!」
ジョルジュが飛び込んで来た。
('A`)「ひ、久しぶりだな」
_
( ゚∀゚)「うっせえ! お前何なんだよボケェ!」
いきなり胸倉を掴まれる。
('A`)「おっ、お前が何なんだボケッ!」
手を振り払った。
相変わらず朝からテンション高いやつだ。
_
( ゚∀゚)「こんのお前はッ!」
ぽかりと頭を殴られた。ますます訳が分からない。
84 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 22:23:13.90 ID:qVfvVV3XO
('A`)「分かった! 分かったから! 産業で」
_
( ゚∀゚)「なんでペニサスは
俺じゃなくて
お前を頼るんだよ」
('A`)「把握」
だから怒っていたのか。
_
( ゚∀゚)「――ってなんで俺喋ってんだよ!」
('A`)「それが産業の不思議だよ」
_
( ゚∀゚)「あ、そうなんだ」
86 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 22:29:19.47 ID:qVfvVV3XO
_
( ゚∀゚)「……悔しいけど、そういうことだよ。俺がキャプテンなのに、なんでなんだよ」
そんなこと俺にだって分からない。
_
( ゚∀゚)「くそ、俺の方がぃょぅの近くにいたはずだぞっ! なのにィィ!」
両耳をぐにぐに引っ張られた。
('A`)「いだだだだだだだ」
88 :真央たんハァハァ ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 22:36:30.38 ID:qVfvVV3XO
_
( ゚∀゚)「中学ん時からそうだよ! ぃょぅは何かあるとお前お前ーってなあ!」
('A`)「……む」
確かにそうかも知れない。ぃょぅは俺と一番仲が良かった。
_
( ゚∀゚)「俺は今日ぃょぅのところ行くぜ! 俺がぃょぅを救うんだ!」
('A`)「…お前」
**選択肢発生**
1.ぃょぅのこと、大事に思ってるんだな
2.ぃょぅは渡さないぞ
3.俺も一緒に行く
100 :真央たんハァハァ ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 22:45:41.18 ID:qVfvVV3XO
('A`)「ぃょぅのこと大事に思ってるんだな」
中学の時は気付かなかったが、多分こいつ――
_
( ゚∀゚)「大事ってーか、うん……」
ジョルジュはわずかに頬を染める。
('A`)「なに照れてんだ気持ち悪い」
膝蹴りが飛んで来た。
_
( ゚∀゚)「……男として、じゃないけど……な」
ジョルジュは自嘲気味に笑った。
_
( ゚∀゚)「は……だからお前、ってなるのかも……」
('A`)「ジョルジュ」
昔からそうだった。こいつ、テンションは高いが同時に落ちた時の変貌は凄まじいのだった、
104 :真央ちゃん… ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 22:53:21.77 ID:qVfvVV3XO
('A`)「性別とか、関係ないなんて言えないからな」
やっぱり俺は阿部先生と、って考えるのは不可能だし。それにぃょぅは可愛いわけだ。
_
( ゚∀゚)「……おお、さんきゅな」
ジョルジュはふっと頬を緩めたが、すぐにひき締まる。
_
( ゚∀゚)「なわけだ。俺はキャプテンとして部員ではないお前に負けるわけにはいかないんだよ!」
('A`)「そ、そう言われてもな……」
106 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 22:59:44.99 ID:qVfvVV3XO
_
( ゚∀゚)「一応シメとこうと思う」
('A`)「……ああ」
_
( ゚∀゚)「お前も、放課後来たかったら来い」
('A`)「考えとくよ」
_
( ゚∀゚)「なっ! 部員じゃねーお前を特別招待してやったんだからなあ?! 来いよ!」
('A`)「…おう」
ふと、阿部先生が頭に出る。
『特別指導』
('A`)「ジョルジュ」
_
( ゚∀゚)「なんだよ」
('A`)「その後輩――」
にんまり笑顔で聞いてやった。
――格好いいか?
110 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 23:05:14.30 ID:qVfvVV3XO
――…
そんなこんなで朝はあっという間に終わり、ただいまHR中だ。
内藤はエロゲのやり過ぎらしい。学校着くなり爆睡した。
くそ、家族の目を気にしないで一日中エロゲやってみたい。ヘリカルが来て集中できないからな。
そんなことはさておき、いまだにツンが学校に来ていない。
遅刻とかあまりしないはずなのに……。
どうしたのだろう。
('A`)「(話、しなきゃな)」
傷つけたのなら謝ろう。
112 :>>108最後の抜けるぜふひひ ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 23:10:22.53 ID:qVfvVV3XO
( ―ω―)「ファーブルスコーファーブルスコー」
('A`)「うわあ」
内藤はすっかり眠りこけている。というかその寝息はどうなんだ。おい。
( ―ω―)「ファーブルスコーファーブル……モルスァ?」
('A`)「聞くな」
( ―ω―)「ファーブル…スコーファーブルスコーファーブルスコー」
('A`)「無視すんなwwwwww」
( ´∀`)「ちょwwwドクオ独り言wwwwww」
そそがれるクラス中の視線。
うわあああああああああ
116 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 23:18:56.77 ID:qVfvVV3XO
――…
( ^ω^)「うあーよく寝たお」
('A`)「はははおはよう。いい朝だね」
( ^ω^)「? なんか怒ってるかお?」
('A`)「黙れピッツァ。イタリアンクリスピーめ。ゴールデンチーズクラフトめ」
( ^ω^)「??? 良く分からないけど腹減る言葉おね」
117 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 23:22:41.30 ID:qVfvVV3XO
('A`)「ピザでも食って(ry……じゃなくて、どうなんだよ? 進んでるのか?」
( ^ω^)「さくらんぼナースのことかお?」
('A`)「YES! YES!」
( ^ω^)「ちょwwwwww」
やっぱいいよエロゲ。心がホットになるよNE! もちろんあちらもNE!
( ^ω^)「詳しく聞きたいかお?」
**自由記述発生**
レイモンドだよー
124 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 23:29:06.74 ID:qVfvVV3XO
('A`)「レイモンドだよー」
( ^ω^)「ちょwwwおはすた思い出したおwwwwww」
('A`)「そうなの?」
( ^ω^)「知らんでやったのかおwwwwww」
('A`)「サーセンwww」
( ^ω^)「じゃあちょっと詳しく喋るかお」
――――…
――…
127 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 23:36:50.83 ID:qVfvVV3XO
( ^ω^)「
―――…
病院に入院してから早数週間。あの時の不幸な交通事故のことはさておき、今頑張ってリハビリ中の俺。
綾「どう? 勃つかしら?」
俺「う…まだですね。気持ちいいんすけど。胸とかではさんでもらえないっすかwwwサーセンwww」
綾「もう、悪い子ね(はぁと」
そう、交通事故のせいで足だけでなく俺の息子のリハビリも必要になってしまったんだ。
ぶっちゃけ最近は勃つようになったんだけど……まあいい役得役得(はぁと
綾さんはボタンを一つ一つはずす。その度に豊満な胸がぷるんと揺れ―――
(;;'A`)「ストォォォップ!」
128 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/23(金) 23:40:59.75 ID:qVfvVV3XO
( ^ω^)「なんだお。ここからいいところなのに」
(;;;'A`)「アホか! ここ学校だぞ! 十八歳未満はだめー!」
( ^ω^)「何を今更」
('A`)「とにかくらめえ、だ」
( ^ω^)「でもドクオに話したいお…あ、じゃあ明日家に来ないかお? 新作もとどいたんだお」
('A`)「mjd!?」
う…行きたい気もする。
('A`)「考えとくよ」
( ^ω^)「分かったお。いつでも来てくれだお」
266 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 16:22:21.14 ID:ML8cYDRDO
その後、俺は内藤と今後のエロゲに関することを熱く議論し始める。
エロを優先すべきか、キャラなのか、ストーリーなのか。
興奮した俺が饒舌になりかけた時だ。
――ガララッ
勢いよく教室のドアが開けられた。
そこには――
(*゚ー゚)「ドックン!!」
267 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 16:24:29.04 ID:ML8cYDRDO
('A`)「し、しぃ?」
戸惑う俺。だがそんなことを意に介さない様子で、しぃは俺のもと一直線に走って来た。
('A`)「(こ、殺される!?)」
そうだ。きっとこの前のことをまだしぃは腹に据えているんだ。いや、しぃはそんな奴じゃない。
いや、でも――
(*゚ー゚)「おりゃあっ!」
268 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 16:27:47.22 ID:ML8cYDRDO
次にあったのは、全身を包む柔らかい感触。
なんだこりゃ。つか目の前が真っ白だ。
( ゚ω゚)「お……っ…」
隣りから内藤のほうけた声。なんだなんだ。
いったい何が――
(*゚ー゚)「もおっ!!」
しぃの呆れた声が聞こえた。
(*゚ー゚)「抱き締めてあげたんだから抱き締め返すとかなんか反応してよねっ!」
抱き締める……?
じゃあ顔に当たるこの感触は……むね?
270 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 16:30:58.93 ID:ML8cYDRDO
(*゚ー゚)「背伸びして顔に当たるようにしちゃったあ!」
(;;'A`)「なっ……」
うまく言葉を出せないでいると、しぃはさらにぎゅっと密着してくる。
(*゚ー゚)「あーいい気持ちぃ! ドックン男の子なのになんかいい匂いするしいー!!」
(;;'A`)「お、おい!」
――俺は
**選択肢発生**
1.しぃから体を離す
2.どいてくれと言った
3.驚きのあまり押し倒す
280 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 16:37:00.22 ID:ML8cYDRDO
(;;'A`)「う、おまっ!」
俺は慌ててしぃから体を離す。が、足がもつれてしまい――
(*゚ー゚)「ふきゃっ」
('A`)「……あ…」
しぃを押し倒してしまった。
(;;'A`)「わわわ悪かった!!」
やばいやばい。これじゃあ俺変態だよ。
朝っぱらから何やってんだよ、って話だ。
しぃから身をどかせようとすると、あれ?
俺はしぃに首をつかまれ、動けない。
(*゚ー゚)「ドクオくん……あたしのこと本気なのねっ!」
(;^ω^)「ちょwww」
282 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 16:39:25.58 ID:ML8cYDRDO
(*゚ー゚)「嬉しいっ! このままひとつになろうか――…」
いやなにいってんだよオイ! クラス中の目が俺に――
(*゚ー゚)「なんて冗談に決まってるじゃんっ!」
………。
(;;'A`)「デスヨネー」
(#^ω^)「………」
いや、内藤。
なぜお前が怒ってる。
285 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 16:42:11.97 ID:ML8cYDRDO
――…
('A`)「…で、俺に何の用だよ」
(*゚ー゚)「もードックン怒んないでよおっ! さっきのは軽い冗談だってえ」
女の子があーいうことをしてはいけないと思うよ、うん。
(*゚ー゚)「もー」
ぷすぷすと頬をつつかれる。
くそ、反省してないぞこいつ。
(*'A`)「だからなんの用だって」
289 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 16:45:50.68 ID:ML8cYDRDO
くすくす笑いながらしぃが俺に紙を差し出した。
(*゚ー゚)「ドックン、明日これにきてくれないかなあ?」
('A`)「ん?」
紙は運動会のしおりみたいな感じだ。
(*゚ー゚)「市の体育大会が明日あってね。あたし短距離で出ることになったの」
しぃが自慢気に笑った。
290 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 16:48:43.11 ID:ML8cYDRDO
('A`)「すげえじゃん」
真冬に体育大会なんて市の方はなに考えてるんだろう。子供は風邪の子ってか。
(*゚ー゚)「うん。ありがと。でもね――」
急にしぃの表情が暗くなった。
(*゚ー゚)「実はあたし柄にもなく緊張しちゃっていまして」
ぺろ、と舌を出す。
(*゚ー゚)「だからドックンが来てくれれば、ちょっと安心出来るかなあ――なんてサ」
291 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 16:52:25.51 ID:ML8cYDRDO
('A`)「え……」
明日、か。微妙だよなあ……。
('A`)「悪い、考えとく」
(*゚ー゚)「え……、あ、そっかあ」
('A`)「ごめん。明日にならないと分かんないんだ」
信用してくれてる…んだよな、俺のこと。
今すぐ断るのはなんかなーって感じだ。だがどうなるからは自分にも分からないわけで。
293 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 16:55:27.45 ID:ML8cYDRDO
(*゚ー゚)「そっ、かあ! オッケーオッケー! 無理しないでゆっくり考えてくれればいいやあっ」
う、あきらかに痩せ我慢している。
('A`)「なんかごめんな……」
(*゚ー゚)「いいのさっ! 明日ドックンが来ることを願ってるねっ!」
しぃはばいばいと俺に手を振って教室から出て行った。
('A`)「むう……」
明日、か。
しぃからもらった紙を丁重にポケットに入れた。
294 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 16:58:36.76 ID:ML8cYDRDO
(#^ω^)「ずいぶん仲良さげだおね」
いやいやだからなんで怒ってるんだい?
(#^ω^)「ブーンも明日家でドクオ待ってるから、だお」
('A`)「う、わかった」
(#^ω^)「もうすぐ授業だお。ちゃくせーき、だお」
('A`)「お、おう……」
なんだろう。明日予定ラッシュになる予感がする。
296 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 17:01:16.29 ID:ML8cYDRDO
――…
予感は、当たってしまった。
音楽室に向かおうと歩いていると――
(´・ω・`)「やあ」
('A`)「あ、えーと生徒会長サン?」
(´・ω・`)「ショボンだよ。あと元だけどね。ちょっといいかい?」
('A`)「…はい」
なんだなんだ。まさか呼び出しか?
298 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 17:04:40.39 ID:ML8cYDRDO
オメーキニクワネーンダヨー!
ドガッバキッ
ウワアアアアアン
((;'A`))「………」
いやいやまさかな。ははは。
(´・ω・`)「なに震えてるの?」
('A`)「いえ、別に……」
それよりもこの人で警戒しなければならないのは『あっち』だろ。
嫌だよ俺、処女喪失は。
300 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 17:07:10.96 ID:ML8cYDRDO
連れてこられたのは人通りのない階段裏。
ちょっと嫌な予感がする。
(´・ω・`)「ふ……今ここで何しようなんて思ってないから安心して欲しい」
('A`)「当たり前ですよ」
(´・ω・`)「はい」
渡されたのはコーヒー牛乳。
(´・ω・`)「このコーヒーはサービスだからね」
('A`)「ど、ども」
311 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 17:21:53.74 ID:ML8cYDRDO
(;;'A`)「い、いや喉乾いてないので……」
あ、怪しいッ! 怪し過ぎるぜえッ! 卑猥な臭いがプンプンするぜえッ!
(´・ω・`)「……ち」
('A`)「今舌鳴らしましたよね?」
(´・ω・`)「ん、気のせい」
この人平然と嘘吐いたよ。
312 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 17:26:02.24 ID:ML8cYDRDO
(´・ω・`)「うん、まあいいんだ。君を今日呼び出したのは他でもない」
ビシッ! と紙を突き付けられる。
――そこには、
『ウホッ! 男だらけのバレー大会』
(´・ω・`)「というわけなんだ」
('A`)「いや、いまいち把握出来ないんすけど」
317 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 17:30:03.72 ID:ML8cYDRDO
いまいちというか大部分だけどな。
(´・ω・`)「実はこの大会に知り合いが出ることになってね。明日応援に行くことになったんだけど一人じゃ寂しくて」
はにかんだ笑顔を俺に向ける。
なぜだ。背筋がぶる、と震えた。
(´・ω・`)「明日暇だったら来て欲しい。場所の詳しい地図はここに載ってるから」
('A`)「あ……考えときます」
(´・ω・`)「いい結果を待ってるよ」
320 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 17:34:28.01 ID:ML8cYDRDO
そんなこんなでショボン先輩と別れ、音楽室へと急いだ。
('A`)「(授業始まっちゃうってーの)」
ショボン先輩からの誘い……どうしようかねえ。
――……
音楽が終了。
次の授業は数学、教室へと向かう。
途中、内藤が俺の手に握るコーヒー牛乳を見つけた。
( ^ω^)「飲まないのかお?」
322 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 17:36:26.44 ID:ML8cYDRDO
('A`)「あ…うーん……」
怪しいよなあ…うん。
すこぶる怪しい。もう疑う余地はない気がする。
――俺は
**選択肢発生**
1.近くにあるゴミ箱に捨てた
2.飲むことにした
3.内藤にあげることにした
333 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 17:41:20.02 ID:ML8cYDRDO
ええい、男は度胸。なんでも試させてみるものさ。
というわけで内藤にあげることにした。
( ^ω^)「お! ありがとだお!」
実は喉乾いて死にそうだったんだお、と内藤は言う。
('A`)「そ、そうか……」
軽い罪悪感だ。
( ^ω^)「では遠慮なく、だお」
――グビッグビッ
五百はある量を内藤は一気に飲み干した。
335 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 17:42:09.19 ID:ML8cYDRDO
( ^ω^)「お………」
( ゚ω゚)「おっ……!!」
340 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 17:45:38.58 ID:ML8cYDRDO
( ^ω^)「普通に美味しいお」
('A`)「………」
な、なんだよ。ちょっと心配しちゃったじゃねえか。
( ^ω^)「………」
('A`)「………」
(*^ω^)「フヒーフヒーッ」
('A`)「!」
き、気のせいだ。俺は何も聞いてないぞ。
内藤の鼻息が荒くなって来たなんて、気のせいです。気のせいなんです。
342 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 17:49:16.24 ID:ML8cYDRDO
トイレの前を通ると、内藤は意味深にそわそわしだした。
ナンテコッタイ/(^o^)\
俺は嫌な予感がしてならないぞ……!
('A`)「と、トイレ行きたいのか?」
(;^ω^)「っ…ふひっ……ふ……、さき、行っててくれお」
(;'A`)「ど、どうしたんだよ」
(;^ω^)「フヒーフヒー」
内藤は何も言わずトイレに消えていった。
俺は思った。
飲 ま な く て よ か っ た 、と。
343 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 17:52:27.79 ID:ML8cYDRDO
――…
二時間目は数学だ。
ツンは……まだ来ていないみたいだ。
( ^ω^)「お……」
少し遅れて内藤が教室に来た。
気まずくて俺は何て声をかけていいのか分からない。
内藤は俺を見つめ、何かを悟ったような表情で俺に告げた。
( ^ω^)「……さくらんぼナースの画像がなかったら危うくドクオで抜くとこだったお」
かかか勘弁してくださいいいいい
346 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 17:56:17.02 ID:ML8cYDRDO
数学の時間。
今更ながらクーの背中がないと授業に身が入らないことに気付く。
('A`)「俺、は――」
**選択肢発生**
1.クーが自分にとって大事な存在だと思い知った
2.クーがいなきゃダメな奴だ
3.クーのことをどう思ってるのか、自分でも分からなかった
356 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 18:04:59.44 ID:ML8cYDRDO
クーが大切な存在なんだと思い知らされる。
('A`)「クー…」
会いたい、とか。
思ってしまったわけなのだ。
――…
休み時間。着信音が鳴った。
('A`)「で、電話か……」
ディスプレイには『非表示』
**選択肢発生**
1.出る
2.出ない
371 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 18:37:13.91 ID:ML8cYDRDO
俺は出ることにした。
ただの悪戯電話だったらのろってやる。
非通知に出るのって、結構勇気いるんだよな。
恐る恐る通話ボタンを押す。
('A`)「――もし、もし?」
???「――っえ?」
聞こえたのは今にも泣きそうな声だった。
372 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 18:41:55.69 ID:ML8cYDRDO
???「せん、ぱい……」
――この声は
('A`)「ぃょうか!?」
(=゚ω゚)ノ「――っ…先輩、非通知には出ない人だったょぅ……」
('A`)「そんなの気分だよ阿呆。……お前、大丈夫か?」
――後輩に蹴られた。
ぃょうの心の傷は、きっと、深い。
376 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 18:45:46.23 ID:ML8cYDRDO
(=゚ω゚)ノ「……その様子だと、聞いたんですょぅ?」
('A`)「…ああ」
(=゚ω゚)ノ「ふっ…先輩とバスケするって言っておいて…僕からだめになるなんて」
('A`)「…お前、やめる……のか?」
(=゚ω゚)ノ「だったらどうしますょぅ?」
377 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 18:50:31.73 ID:ML8cYDRDO
だったらどうする、だと?
('A`)「諦めるのか」
(=゚ω゚)ノ「………」
('A`)「お前、俺とバスケするんだろ? こんなことで、諦めるのかよ」
(=゚ω゚)「こんなことって……アンタに何が分かるってんだよッ!」
悲しい声だった。怒りよりも、もっともっと悲しさが溢れる声。
('A`)「分かるよ!」
俺はたまらず叫ぶ。
378 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 18:54:55.60 ID:ML8cYDRDO
(=゚ω゚)ノ「――ッ…」
('A`)「お前も知ってるだろう!? 俺は、途中でバスケ辞めた奴だから……!! だからッ………!」
お前が泣きそうなのも、これから後悔するのも全部分かる。
(=;ω;)ノ「う、先輩の馬鹿!」
涙声だった。
(#'A`)「な、馬鹿とはなんだよ!」
(=;ω;)ノ「馬鹿…――…だ。僕…はッ…くそおッ」
――プッ。
通話がとぎれた。
380 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 18:58:50.36 ID:ML8cYDRDO
('A`)「おまッ……!!」
ぃょぅの電話にかけなおしてみたが、着信拒否されているようだ。
(#'A`)「………」
俺と話したくないのか?
だったらかけてくるんじゃねえ。
ひととおり心の中で悪態をついて、気付く。
('A`)「(あいつは……不器用な奴だ)」
人を拒絶して、それでもぬくもりを求める。
今日、行ってみるか。
381 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 19:01:16.02 ID:ML8cYDRDO
??「話は終わったかい?」
('A`)「ええ、非常に腹立つ状態でですが」
('A`)「………」
(゚A゚)「!!」
ゆっくり、恐怖が体を蝕む。
――まさかな。
――いや、最悪の状態を考えろ。
――この声は……
383 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 19:03:47.19 ID:ML8cYDRDO
阿部「や ら な い か」
('A`)「うわあああああッ」
待て待て待て!
話が繋がっていないぞ!
阿部先生が俺の隣りにいるのは分かった。そう、きっと話に夢中になって気付かなかったのだと思う。
――だが、
この流れでなぜその言葉が出るんだッ!
阿部「いや、ちょっと言いたくなってな」
――心を読まれたッ!?
385 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 19:06:01.42 ID:ML8cYDRDO
阿部「読心術はお手の物さ」
(;;'A`)「いや、どこの軍ですか」
阿部「ふふ。遠い昔の話さ」
経験者なのか!
阿部「で、ちょっと良いか?」
('A`)「っえ?」
387 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 19:10:16.63 ID:ML8cYDRDO
阿部「朝……ドクオがうまくかわしちゃうから……先生、話したいことあったんだぞ?」
ふう、と息を吹き掛けられる。
俺の全神経は一瞬のうちに麻痺された。
('A`)「あ……あ…あ」
『やらないか』『ハッテン場』『ウホッ』『特別指導』『ノンケでも食っちまう』
俺の頭いっぱいに広がる言葉。
まずいまずい。このままじゃ………かゆ、うま………
388 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 19:13:09.69 ID:ML8cYDRDO
阿部「しぃから……もらっただろ…ッ?」
急になまめかしい声を耳元で発し出す。
('A`)「う…、な、なにをですか?」
阿部「とぼけるなよ……ッ」
大きな手が、俺のふとももを上にすーっと這う。
(;'A`)「(…ッ、動けない)」
389 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 19:15:08.68 ID:ML8cYDRDO
阿部「これ、さ」
('A`)「うああああ」
手が、ポケットの中にィィィィィィィ
('A`)「あれ?」
阿部「市体育大会のお知らせのことさ。一体何を勘違いしてたんだ? ドクオ?」
('A`)「は…本当ですよね……はははは…」
もうね、死にたい。
392 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 19:18:03.17 ID:ML8cYDRDO
阿部「で、お前明日来るのか?」
('A`)「いや、ま、まだ分からないです」
阿部「そうか……」
ふう、と溜め息。
阿部「実は明日、その大会の教務部門に出ることになってな?」
('A`)「へ、へえ」
阿部「応援、来てくれよな?」
('A`)「な」
阿部「ドクオ」
そ、そんな愛しげに俺の名前を呼ばないでくださいよ。
393 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/25(日) 19:20:54.31 ID:ML8cYDRDO
('A`)「ままままだ分からないですね、ははは」
阿部「そうか、残念。だがもしかしたら来れるかも、なんだろ?」
('A`)「ま、まあそういうことになりますね」
阿部「ならいい」
阿部先生はいい男スマイルを浮かべた。
阿部「明日、待ってるぜ?」
たくましい阿部先生の背中を、俺はいつまでも見つめていた――
というのは嘘で、もちろん全速力で教室に逃げ込みました。
26 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/26(月) 23:15:33.19 ID:9w3usfi4O
怖い。本当に怖い。
もちろんいい所があると分かっているのだけれども、やっぱり恐怖心はのぞけない。
(;'A`)「阿部先生からも誘い受けちゃったよ……」
正直意外だったわけなのだが。
だって阿部先生から俺はガチで逃げまくっていたわけであるし。
何を考えているんだろう……。うーん……。
(;'A`)「あ」
悩むついでに思い出した。さっきぃょぅのことを軽く打診しておけば良かったじゃないか。
その後輩に暴力よりも恐ろしい『特別指導』を受けさせることが出来たのに。
28 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/26(月) 23:18:46.06 ID:9w3usfi4O
('A`)「……まあ良いか」
その後輩には、直々に言ってやろう。
さっきのぃょぅの涙声。
人を傷つけるってどんなことか、分からせてやる。
('A`)「(なんか……熱いな俺)」
そんな自分が嫌いなわけではないのだが。
休み時間はもうすぐ終わる。次の授業は……何だか忘れたがどうせ置き勉してあるし大丈夫だろう。
授業のことよりも、いまもっと気になることが多過ぎる。
('A`)「……ツン」
31 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/26(月) 23:21:20.05 ID:9w3usfi4O
早く来い。お前を傷つけたなら、謝らなくちゃならないだろ。
――…
昼を告げる鐘の音。
結局、ツンは来なかった。
('A`)「……」
( ^ω^)「ツンさん来ないおね。珍しいお」
('A`)「だな……」
34 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/26(月) 23:27:26.44 ID:9w3usfi4O
('A`)「飯、食うか?」
( ^ω^)「そうだおね」
内藤は弁当箱を取り出した。
('A`)「あ」
そういえば今日は買い弁だった。もちろんコンビニに寄っていない。
('A`)「ちょっと食堂行ってくるわ」
絶対混んでいるんだろうな。
そう考えると憂鬱な訳だが。腹の減りを抑えないわけにもいかないだろう。
( ^ω^)ノ「お。ついでにコーヒー牛乳も頼むお」
風呂上がりかよ。
35 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/26(月) 23:29:47.85 ID:9w3usfi4O
('A`)「さてと」
どうやって食堂に行くか?
**選択肢発生**
1.一番近い道で
2.いつもの階段から
3.少し遠回りしてみる
43 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/26(月) 23:32:26.30 ID:9w3usfi4O
いつもの階段から行くことにした。
いつもの階段。以前朝にツンと会った場所だ。
('A`)「(いるかな……)」
そんな淡い期待があった。
44 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/26(月) 23:34:27.59 ID:9w3usfi4O
一段、また一段と降りる。ツンの影はない。
('A`)「………」
もしかして今日は来ないつもりなのだろうか。
だったら俺はどうしたら良いのだろう。
言わなきゃいけないこと。聞かなきゃいけないこと。
あるんだぜ?
45 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/26(月) 23:38:16.79 ID:9w3usfi4O
す、と足が自然に止まる。
――いた。
良かった。こっちから行って。
大きく見開かれた瞳と、揺れるカールした髪がなぜか目に焼き付いた。
ξ゚听)ξ「ドクオ……」
('A`)「…おはよう」
ξ゚听)ξ「あんた、お昼はこっちの道通らないじゃない」
**選択肢発生**
1.……気分だよ
2.俺のこと避けてたのか?
3.お前に会えると思ったんだ
59 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/26(月) 23:45:18.21 ID:9w3usfi4O
俺がいないことを知っててここを通ったってことは、
('A`)「……俺のこと、避けてたのか?」
ということになるよな。
俺は黙ってツンを見つめた。
大きい目が俺を捕らえて、すぐに上履きにと下ろされる。
('A`)「……ツン」
それは言葉のない肯定だった。
61 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/26(月) 23:49:26.74 ID:9w3usfi4O
ξ゚听)ξ「…だ、って……」
ツンは拳をぎゅっと握る。
ξ゚听)ξ「あんたに……会うの怖くて……あたしッ……!」
気付いたら、ツンは泣いていた。
ξ;;)ξ「昨日、あんな意味分かんない態度とっちゃって……だからッ……!」
**選択肢発生**
1.分かったから、大丈夫だ
2.とりあえず二人で話そうか
3.許さねえ
79 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/26(月) 23:53:34.22 ID:9w3usfi4O
なぜだろうか。
急に心にわずかな嗜虐心がわく。
('A`)「――許さねえ」
俺は、何を言っているんだ?
こんなに泣いて、俺に謝ろうとしているツンに。
謝らなくちゃいけないのは俺かもしれないのに。
俺は何を――
88 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/26(月) 23:57:00.34 ID:9w3usfi4O
ξ;;)ξ「あ……」
がくり、とツンのからだか揺れた。
そしてへなへなとその場にしゃがみこむ。
俺はそれを見下ろす。
かわいそうな、はかなげな姿だ。
ξ;;)ξ「あ…たし、どうしたら許してもらえる……?」
――俺は、
**選択肢発生**
1.しゃぶれよ
2.脱げよ
106 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/27(火) 00:01:01.30 ID:Zi7Two3sO
(゚A゚)「……しゃぶれよ」
ξ;;)ξ「…っえ?」
(゚A゚)「だからしゃぶれよ。俺……溜まってるんだ」
ξ;;)ξ「じょ、冗談でしょ…っ?」
(゚A゚)「償いたいんだろ? 許して欲しいんだろ?」
ξ;;)ξ「………」
ツンは覚悟を決めたかのように、俺をじっと見つめた。
114 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/27(火) 00:03:32.39 ID:Zi7Two3sO
ξ;;)ξ「ゆる、ゆるしてくれるなら……」
涙が、ぽたりと落ちた。
――…
ξ;;)ξ「ん、ん…ん……」
滅多に使われることのない資料室に、俺とツンはいた。
書棚に囲まれた、外からは見えない一角。
そこから聞こえる押し殺した吐息。
120 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/27(火) 00:06:51.72 ID:Zi7Two3sO
(゚A゚)「もっと…舌使えよ……」
ξ;;)ξ「んっ……あ…はいぃ……」
俺の息子を口に含んだツンは、ぺろぺろと刺激する。
――だが、足りなかった。
俺は腰を押し、ツンの小さな口に怒張を押し込めた。
ξ゚听)ξ「ん、ああッ」
('A`)「噛んだら承知しない……からな」
125 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/27(火) 00:09:31.62 ID:Zi7Two3sO
ξ;;)ξ「う…んんっ…」
熱い粘膜に包まれる感触に、俺は息を洩らした。
――気持ち良い、マジで。
初めて味わう強い快感だった。
('A`)「…もっと……そこ、なめろ…」
ξ;;)ξ「んん…」
ツンの舌がくびれに絡む。
126 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/27(火) 00:11:42.65 ID:Zi7Two3sO
(゚A゚)「…っ、あ…」
やべえ、やべえ。
ξ;;)ξ「ん…ふぅ…っ……むぐ……」
もうすぐ、出そうだ。
だけど、もう少し足りない。
もっと、もっと――
126 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/27(火) 00:11:42.65 ID:Zi7Two3sO
(゚A゚)「…っ、あ…」
やべえ、やべえ。
ξ;;)ξ「ん…ふぅ…っ……むぐ……」
もうすぐ、出そうだ。
だけど、もう少し足りない。
もっと、もっと――
131 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/27(火) 00:14:55.11 ID:Zi7Two3sO
俺はツンの頭を掴み、強引に揺さぶった。
それはさながらピストン運動のように、俺のそこに強い快感を与える。
ξ;;)ξ「ん…あっくるひぃ……ッあ」
(゚A゚)「いいぞ、出る……出る…ッ」
ξ;;)ξ「あああ…んッ………」
ツンの手足がばたばたと抵抗をしても、俺は手を休めなかった。
ツンの頭をがくがくと上下に揺らす。
135 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/27(火) 00:19:35.56 ID:Zi7Two3sO
――出るッ!
それを感じた瞬間、俺は素早く引き抜いた。
白濁がツンの顔に、制服に飛散した。
ξ;;)ξ「あ………」
(゚A゚)「……ツン」
運動のせいでだいぶずれたブラウスからのぞく、膨らみの片辺。
ξ;;)ξ「い、や……」
ツンは俺からずるずると離れて行く。
(゚A゚)「そんな姿で逃げたって無駄じゃね? 変態」
ξ;;)ξ「あっ……あっ…」
『いやあああああ』
――狂宴は、まだ終わらない。
*BAD END*
『欲の果て』
142 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/27(火) 00:21:33.60 ID:Zi7Two3sO
BAD ENDの分岐点からやり直しです
ξ゚听)ξ「…だ、って……」
ツンは拳をぎゅっと握る。
ξ゚听)ξ「あんたに……会うの怖くて……あたしッ……!」
気付いたら、ツンは泣いていた。
ξ;;)ξ「昨日、あんな意味分かんない態度とっちゃって……だからッ……!」
**選択肢発生**
1.分かったから、大丈夫だ
2.とりあえず二人で話そうか
285 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/27(火) 22:49:54.24 ID:Zi7Two3sO
('A`)「とりあえず、話そう」
気がつくと震えるツンの手の平をそっと握っていた。
ξ;;)ξ「う…うんっ……」
内藤のコーヒー牛乳はもう少し待ってもらおう。
泣いている女の子を放っておくなんて男じゃない。ってばっちゃが言ってた。
288 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/27(火) 22:53:40.92 ID:Zi7Two3sO
――…
というわけここは三階、トイレ横の薄暗い階段。滅多に利用されないそこに、俺たちは腰掛ける。
せめて場所だけでも明るくしようと窓に一番近い所に座った。
('A`)「あのさ……」
ξ゚听)ξ「ん……?」
('A`)「き、昨日はごめん」
まだ自分のどこに非があったのか分からないけど、泣かせてしまったんだ。なにかあるはずだ。
謝るのに損することなんてない。
289 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/27(火) 22:55:47.25 ID:Zi7Two3sO
ξ゚听)ξ「………あたし、これから変なこと言うわ」
しばらく口をつぐんでいたツンが、思い立ったように話だす。
ξ゚听)ξ「それでも……呆れないで聞いてくれる?」
('A`)「ああ、聞くぞ」
ξ゚听)ξ「ありがとう」
にこりとツンは笑った。
293 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/27(火) 23:00:58.40 ID:Zi7Two3sO
ξ゚听)ξ「あのね、正直に言うわ。あたし嫉妬してたの」
嫉妬?
ξ////)ξ「……こういうの、すごい恥ずかしいけど」
ξ*゚听)ξ「あたし、もう自分をごまかすのはやめることにした」
ξ゚听)ξ「ドクオ」
真っ直ぐとした瞳に射抜かれる。
俺は――
**選択肢発生**
1.胸の高鳴りを感じた
2.あの横顔を思い出した
307 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/27(火) 23:08:48.28 ID:Zi7Two3sO
あの横顔を思い出していた。
同時に、どうしようもない背徳感。
('A`)「(なんだよ、この気持ちは)」
なぜこの気持ちが生まれて来るのか。
分からない、だが。
――もう答えは見つけている気がした。
ξ゚听)ξ「…、あたし」
ツンが立ち上がる。
揺れるチェックのスカート。
('A`)「……ツン」
次の言葉は俺を驚かせるには十分だった。
309 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/27(火) 23:09:34.69 ID:Zi7Two3sO
ξ゚听)ξ「好きよ、ドクオ」
316 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/27(火) 23:13:04.04 ID:Zi7Two3sO
('A`)「え………」
見上げた顔は、光を受けて輝いていた。
形の良い唇を半月に笑うツンは、今まで見たこともないような優しい笑顔だった。
――ツンが、俺のことを好き。
信じがたい事実にぐらぐらする。
ξ////)ξ「昨日言い訳とか、もっとしようかと思ってたんだ……他にも、もっとさ……」
ξ*゚听)ξ「でもまどろっこしいことはいらないって気付いたの……、さっきね」
320 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/27(火) 23:18:22.38 ID:Zi7Two3sO
ξ゚听)ξ「好きでした。もちろん、今も」
すっと紙を差し出される。
ξ゚听)ξ「明日ドクオに会いたい。会って、話したい。………ううん、ほんとは毎日会って話していたいの。見てるだけはもう嫌なの。気持ちを押し隠すのも、もう疲れたから」
ξ゚听)ξ「明日、この場所で待ってます。今は、返事はいらない。あたし、待ってるわ」
なんてね。ツンはぺろ、と舌を出す。
ξ*゚听)ξ「本当は今返事聞くのが怖いだけなんだけど」
325 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/27(火) 23:20:31.21 ID:Zi7Two3sO
ξ゚听)ξ「あたし教室行くね」
('A`)「お、おま――」
思わず立ち上がって制したはいいが、何て言葉をかけたら良いのか分からない。
ξ゚ー゚)ξ「ん?」
('A`)「い、いや――」
俺、格好悪い。
328 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/27(火) 23:23:40.44 ID:Zi7Two3sO
自分が恥ずかしくなってうつむく。
ツンの足音はぱたぱたと離れていった。
ツンから渡された紙。――それは紙ではなくて、封筒だった。
中身は近くにある、有名な遊園地のチケット。
と共にツンの字でかかれたメモ。
('A`)「このチケットは知り合いがくれたものだから気にしないでよろしい、か……」
どうしたらいいんだ?
俺は頭を抱えるのみだった。
330 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/27(火) 23:26:03.42 ID:Zi7Two3sO
――…
( ^ω^)「おかえりだおー」
教室に戻ると内藤はいつもの笑顔で出迎えてくれた。弁当はとっくに完食しているようだ。
待っててくれたっていいじゃないか、なんてな。
('A`)「ほらよ……」
コーヒーを手渡す。
( ^ω^)「ありがと、だお」
335 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/27(火) 23:31:14.65 ID:Zi7Two3sO
しばらく二人とも無言だった。
俺は運良く残っていたカツサンドを頬張ることに集中し――というのはもちろん嘘で突然の事態に心が混乱しきっていたのだった。
内藤は内藤で何も喋れない。
ただ、窓の外を見ている。
( ^ω^)「……ドクオ」
内藤が外を見つめながら口を開いた。
( ^ω^)「自分の気持ちを考えるのも、大事だお」
( ^ω^)「昔からドクオは自分のことになると弱かった気がするお。自分の本当の気持ち、探すんだお」
見透かされているのだろうか?
いや、そんなわけない。
多分、内藤は勘で話しているのだろう。
341 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/27(火) 23:37:17.58 ID:Zi7Two3sO
>>331
('A`)「…ありがとう」
内藤の言葉を、素直に受け入れよう。
自分を探す。
確かに、大事だ。
――…
あっというまに放課後になっていた。
帰りのホームルームの時間、先生の目を盗んで携帯を見るとメール着信一件。
予想通りジョルジュからだった。
423 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 20:39:02.12 ID:13o0CCTjO
メールの内容は、こうだ。
━━━━━━━━━━━━━━
来るんだったらこい
食堂裏に呼び出してある
来るかこないかはお前の自由だ
ジョルジュ
━━━━━━━━━━━━━━
('A`)「ジョルジュ……」
さっきは来いと言っていたのに。
こういう時、結局は俺の意思を尊重してくれるのがジョルジュだ。昔から変わらない。
('A`)「俺、は……」
**選択肢発生**
1.行く
2.行かない
3.阿部先生にやっつけてもらう
431 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 20:44:37.04 ID:13o0CCTjO
('A`)「俺は……」
行くしかないよな。かわいい後輩のためだ。
――指導
('A`)「?」
頭に響く謎の声。
――特別指導
('A`)「!」
なるほど、阿部先生にやってもらうってか。
俺頭良いじゃないか。
このことでジョルジュが退学とか何かしらの処分を受けることは避けたいし、だ。
俺はさよならの礼と同時に体育教官室に走った。
434 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 20:48:38.29 ID:13o0CCTjO
――…
軽くノックして、中に入る。
('A`)「先生!」
阿部「ドクオ……」
阿部先生は雑誌を読んでいたようだが、今の視線は俺に注がれていた。
ちなみに雑誌は薔薇族、と書いてある。ビジュアル系の雑誌だろうか、合わないな。
阿部「どうした? 俺に指導されにきたのか?」
((;'A`))「いや、あの俺じゃなくてですね」
俺は訳を話した。
435 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 20:52:06.48 ID:13o0CCTjO
阿部「オーケー、そいつには特別指導の必要があるようだ」
話を聞いた阿部は、うなずき快諾をしてくれる。
阿部「それに、可愛い教え子のためだ……」
物凄く決まっているウインクを俺にくれる阿部先生。
('A`)「ありがとうございます」
阿部「じゃあ俺はそこに行くぜ。ジョルジュをこっちに呼んでおけ、ごたこだしないうちにな」
439 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 20:54:54.59 ID:13o0CCTjO
あの人ほんといい男ですね、ははは。
徐々に遠ざかる後ろ姿を見つめながら、俺は強く感じた。
――…
_
(;゚∀゚)「取りやめってどういうことだよ!」
ジョルジュを体育教官室に呼び出した。別の場所でもよかったのだが、何となくここにだ。
一分もしないうちにやってきたジョルジュは息を切らしながら、俺に掴み掛かる勢いで問い掛けてきた。
440 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 20:57:22.50 ID:13o0CCTjO
_
(#゚∀゚)「まさか怖じ気付いて俺まで止めさせようとした、ってなら容赦しねえぞ!」
('A`)「いや、違う。後輩は阿部先生がしめてくれることになった」
_
(;゚∀゚)「あ、阿部先生……?」
急にジョルジュの顔が青くなった。
('A`)「阿部先生になんかあるのか?」
_
(;゚∀゚)「な、なんもねえよ!」
441 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 21:00:18.38 ID:13o0CCTjO
('A`)「ふうん」
なんか怪しくないかな、かなあ?
_
( ゚∀゚)「ほ、本当だよ何だその人を疑うような目は! 俺は本当に――」
(゚A゚)「嘘だッ!」
_
(;゚∀゚)「……はい?」
('A`)「や、すまんすまん。オヤシロサマが――てのは冗談で、俺の訳を聞いてくれ」
_
( ゚∀゚)「あ、ああ……」
442 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 21:02:16.44 ID:13o0CCTjO
ジョルジュはうなずいて、俺の話をきいてくれた。
('A`)「だから……俺はその後輩なんかのせいでお前がめんどくさいことになるのは嫌だったんだ」
_
( ゚∀゚)「……そう、か」
('A`)「阿部先生ならその後輩をギタギタにしてくれるだろうしさ」
_
( ゚∀゚)「肉体的にも精神的にもな」
('A`)「ああ」
444 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 21:06:18.70 ID:13o0CCTjO
_
( ゚∀゚)「でもさ……俺」
ふと、ジョルジュの顔に影が差す。
_
( ゚∀゚)「別にめんどくせえことになっても良かったんだ。ぃょぅのためなら、大丈夫なんだよ」
('A`)「………」
_
( ゚∀゚)「つか、俺がぃょぅに出来るのってそんくらいだと思うし、だから今回くらいはかっこよくしたかったんだ」
**選択肢発生**
1.ぃょぅは分かってくれるさ
2.お前は十分かっこいいよ
3.ぃょぅのこと、そんな大事に思ってんだな
457 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 21:13:49.73 ID:13o0CCTjO
('A`)「お前は十分格好いいよ、うん」
素直に、心からそう思う。
('A`)「だから今回は俺に……じゃねえや阿部先生に、まかせようぜ」
_
( ゚∀゚)「……」
('A`)「ぃょぅだって自分のせいでお前が、ってなったら嫌だろうが」
_
( ゚∀゚)「……おう」
ジョルジュは照れたみたいにうつむいた。
462 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 21:16:24.45 ID:13o0CCTjO
('A`)「そろそろ後輩のとこ、様子見に行ってみないか?」
_
( ゚∀゚)「そうだな」
ジョルジュが扉を開ける。
その前に集中しないと聞き取れないほどの小声で、
_
( ゚∀゚)「ありがとな」
と。
('A`)「(素直なんだか違うんだかわかんねえな)」
でもまあ、いい奴だ。
465 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 21:21:08.77 ID:13o0CCTjO
――…
呼び出し場所にこそこそと向かう。
('A`)「………」
_
( ゚∀゚)「………」
はい、地獄絵図でした、
一部をピー音なしでお届けします。
「もうしませんから! もうしませんから! ひぎぃぃぃ! アッー!
」「本当か? ちゃんとその子にッ」
「アッー!アッー!」
「謝るかッ!?」
「アッーやまります! 絶対謝りますからあああああ」
「よし、よく言った。ご褒美をやろう」
「あああああああ」
(;A;)「…………」
_
( ;∀;)「…………」
俺たちは声を押し殺して泣いた。
475 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 21:28:45.29 ID:13o0CCTjO
――…
そんなこんなで。
ある種の悟りを得た俺たちは帰路に着くことになった。
('A`)「じゃ、また来週な」
_
( ゚∀゚)「おう、……あっ」
何かを思い出だしたような声を出される。
('A`)「何だ?」
_
( ゚∀゚)「明日……いや、何でもねえわ」
477 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 21:30:07.49 ID:13o0CCTjO
('A`)「? そうか?」
_
( ゚∀゚)ノ「じゃあな。これから部活だったわ」
('A`)ノシ「おう」
_
( ゚∀゚)「出ない……よな?」
ちらりと懇願するような瞳が向けられる。
俺は――
**選択肢発生**
1.出ることにした
2.断った
488 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 21:47:17.75 ID:13o0CCTjO
出ることにしてみた。
少しくらい、やってみようかと。
('A`)「出ても、いいのか?」
_
( ゚∀゚)「え、おまっ!」
('A`)「俺部員じゃない、し……」
_
( ゚∀゚)「バカヤロ! いいに決まってんだろおお!!」
ジョルジュは声を出して笑った。
_
( ゚∀゚)「そうかそうか。ついにお前が、ねえっ!」
('A`)「……なんだよ」
491 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 21:51:06.61 ID:13o0CCTjO
_
( ゚∀゚)「一回の怪我くらいでさーまったく!」
(#'A`)「……帰るぞ」
_
( ゚∀゚)「まあまあ! よし、今日は良い日だな! 一緒にあれやるか!」
('A`)「…あれ?」
_
( ゚∀゚)o彡゚ ('A`)o彡゚「おっぱいおっぱい」
おっぱいコールのまま校庭を横断する俺たち。
('A`)「(……シニタイ)」
493 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 21:55:10.05 ID:13o0CCTjO
――…
('、`*川「ドクオ君……」
体育館に着いて真っ先に見えたのはペニサスの驚き顔だった。
('、`*川「君、部活やることにしたのかい?」
('A`)「あ、いや、その」
_
( ゚∀゚)「体験入部って奴だよせんせー」
('、`*川「なるほどね。ジョルジュ、さっさと着替えてこい」
_
( ゚∀゚)「あいあいー」
ジョルジュは更衣室の方へ走って行った。
494 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 21:57:29.75 ID:13o0CCTjO
ジョルジュがヒャッホイ! など叫びながら着替えるものだから、何がそんなに嬉しいんだろうと悩んだ後輩が俺の存在に気付いてしまった。
どうやらあの人が原因のようだ、と。
気まずくなってペニサスに話をふる。
('A`)「あの、そういうことなんですけど構わないですか?」
('、`*川「構わないよ、むしろ大歓迎だな」
496 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 22:00:01.96 ID:13o0CCTjO
ペニサスはにか、と笑った。
('、`*川「ただしちゃんと着替えてからだよ。スペアがあるはずだからジョルジュに聞け」
('A`)「は、はい」
俺は更衣室へと向かった。
――…
_
( ゚∀゚)「へー似合うじゃねえか、VIP高のユニフォーム」
ジョルジュに渡された服。それは公式のユニフォームだった。
('A`)「練習なのにユニフォーム着るのかよ……」
500 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 22:02:37.73 ID:13o0CCTjO
_
( ゚∀゚)「もうすぐ試合だから士気を高めようってな。今だけ今だけ」
('A`)「……へえ」
我ながら、うん。まあまあ似合ってると思う訳だ。
_
( ゚∀゚)「バッシュは? 体育館履きじゃキツいぜ?」
('A`)「貸してもらえるとありがたいけどな」
バッシュは今家だ。
501 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 22:04:56.75 ID:13o0CCTjO
_
( ゚∀゚)「ひひ、ちゃんとスペアあるんだぜー! しかもほぼ新品」
投げてよこされた靴は確かにぴかぴかだった。一回や二回しか履いてないのだろう。
('A`)「ウホッ! これはいいバッシュ!」
_
( ゚∀゚)「………」
('A`)「ああすまん。確かにさっき見たあとじゃ洒落にならないよな」
不覚だったね。
504 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 22:07:55.00 ID:13o0CCTjO
――…
ジョルジュがコートに入ると、今まで練習していた後輩がさっと集まってきた。
好奇の目が向けられていることに、俺は気付かざるをえない。
_
( ゚∀゚)「体験入部生のドクオだ」
('A`)「一日よろしく頼みます」
後輩「うまいんすか? 先輩w」
むか。なんだこの態度うぜえ。
506 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 22:10:19.49 ID:13o0CCTjO
この中でぃょぅがやっていくのは、精神面にしても肉体面にしても大変かもしれない。
いま発言した後輩は明らかに挑発的な態度だし、きっとぃょぅに対するそれもあまり変わらないだろう。
もしくは、これ以下か。
('A`)「うまいかどうかはやってみりゃあ分かるかもな」
後輩「へえw」
…やっぱうぜえ。
507 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 22:12:49.38 ID:13o0CCTjO
後輩B「そういえば皆川がまだ来てないんすけど」
びく、とジョルジュの肩が揺れた。
おそらく皆川はさっきの後輩のことだろう。
('A`)「あー…多分皆川くんは、うん、なあ?」
ジョルジュに話をふる。
_
(;゚∀゚)「あ、ああ。皆川はなあ」
声を揃えて告げた。
――特別指導中だ。
511 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 22:16:02.46 ID:13o0CCTjO
――…
だいぶ時間が経過していた。
俺はこの辺で抜けさせてもらう。
('A`)「今度こそじゃあなー」
_
( ゚∀゚)「おう、また」
ジョルジュは後輩指導に大忙しだった。
体育館の外に出るともうとっくに日が暮れている。早めに切り上げるつもりが、とんだ誤算だった。
(#'A`)「(あいつのせいだ!)」
514 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 22:19:25.77 ID:13o0CCTjO
あのあと、例のうぜえ後輩が俺に勝負を挑んできやがったのだった。
こう見えても負けず嫌いなんです、俺。
そんなわけでこてんぱんにしてやった。嘘です、結構熾烈な争いでした。
実力はちょっと俺の方が上だったみたいで結果的には勝てたわけだが。
('A`)「(やっぱなまったよなー…)」
ボールの感触とか、ぜんぜん違うふうに感じた。
518 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 22:22:04.99 ID:13o0CCTjO
('A`)「………」
バスケ、やるのもいいかもしれない。
それにしても暗い。ぃょぅのところにも寄ろうとしてたんだけどな……。
だけどJ( 'ー`)しも*(‘‘)*もきっと俺のこと待ってるだろうし。
どうするか。
**選択肢発生**
1.家に帰る
2.ぃょぅの家に寄る
523 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 22:24:18.97 ID:13o0CCTjO
('A`)「……よし」
ぃょぅの家に寄ることにする。今日のこととか、いろいろ話そう。
あいつ、俺がバスケやってきたって言ったら何て言うかな。喜ぶかな。
('A`)「…ひひ」
ちょっと楽しみだ。
524 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 22:30:09.10 ID:13o0CCTjO
――…
ピンポーン
自転車乗っていつもの道。で、ちょっと寄り道したところにぃょぅの家はある。
母「はーい?」
スピーカーからおっとりとしたぃょぅの母の声。
('A`)「あの、ドクオですけどぃょぅ君……」
母「まあドクオ君! 久しぶりね!」
('A`)「ひ、お久し振りです」
相変わらずマイペースな方だ。
母「うふ! とりあえず上がって上がって! 晩ご飯食べてってー」
そこで声は切れ、代わりにとたとたと足音が聞こえる。
527 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 22:33:30.85 ID:13o0CCTjO
母「ドクオ君、どうぞ!」
扉が開けられ、エプロン姿のぃょぅ母が現れた。
('A`)「お、お邪魔します」
ぃょぅの家は白を基調にしたメルヘンな造りになっている。ところどころピンクの飾りがあるのはぃょぅ母の趣味だろう。父だったら怖すぎる。
母「ぃょぅの部屋、場所変わってないから。行ってあげてくれる?」
('A`)「はい」
もともとそのつもりだ。
俺は二階へと階段を上った。
529 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 22:37:43.39 ID:13o0CCTjO
一番階段側に近い部屋。それがぃょぅの部屋だ。
そして俺は、最大のミスを犯すことになる。
それは――
('A`)「失礼するぞ」
ノックもせずに以前の習慣から中に入ってしまったからだ。
――沈黙。
そしてそして俺の目には、なぜかぃょぅの下着姿が。
ぃょぅはブラジャーをつけない。当然丸見えの上半身と、乳、
……はい、着替え中だったようです。
533 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 22:39:28.63 ID:13o0CCTjO
(=゚ω゚)ノ「………」
止まるぃょぅの動き。
動けない俺。
(=゚ω゚)ノ「………」
('A`)「………」
時間は、動き出した。
(=゚ω゚)ノ「う、うわああああああ」
('A`)「ああああすまんすまんすまん!」
536 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 22:42:03.85 ID:13o0CCTjO
(=゚ω゚)ノ「ちょ、アンタァ、普通ノックとかするだろうがょぅッ!」
('A`)「だだだだだって!」
(=゚ω゚)ノ「だってもこうもないょぅ!」
枕を渾身の力で投げ付けられる。
(::)'A`)「ウォベアッ!」
(=゚ω゚)ノ「着替えるからちょっと出てけょぅ!」
('A`)「もちもちろんです!」
俺は急いで部屋から出た。
538 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 22:44:57.54 ID:13o0CCTjO
そして勢いよくドアを閉める。
下からぃょぅ母からの心配した声。
母「どーしたのお?」
(;;'A`)「ななななんでもないですっ!」
子供さんの着替え見ちゃえやしたフヒヒwww
なんて言える訳もない。
母「そお? もうすぐご飯出来るってぃょぅに言ってくれるかしら?」
('A`)「了解しました!」
539 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 22:47:25.95 ID:13o0CCTjO
しばらく、ぃょぅのお呼びがかかるまで俺は投げ付けられた枕と戯れていた。
いや、ただ抱いてただけだけどね。ものっそいふかふかなのだよ。
(=゚ω゚)ノ「……入って、いいですょぅ」
不機嫌な声。
('A`)「し、失礼しますよ」
怖々と中へ入るとシャツとジーンズのラフな格好したぃょぅがいた。当たり前だが。
544 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 22:52:09.63 ID:13o0CCTjO
ぃょぅは俺を一瞥すると、無言でベッドにもぐった。
う、怒っている……よな。
('A`)「か、母ちゃんがもうすぐご飯出来るって言ってたぞ」
(=゚ω゚)ノ「食欲、ないですょぅ」
拗ねているとしか思えない言葉が気にかかる。
('A`)「お前なあ……」
俺は布団とぃょぅを引きはがす。
('A`)「我が儘はいかんざき!」
(=゚ω゚)ノ「なっ、布団返せょぅ!」
547 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 22:54:48.23 ID:13o0CCTjO
('A`)「母ちゃんがせっかく作ってくれたんだぞ!」
(=゚ω゚)ノ「ぼっ、僕は病人ですょぅ! 多少のワガママは許されますょぅ!」
('A`)「なーに言ってんだよ」
持ったままの布団をぃょぅに放り投げた。
('A`)「……で? 足、どうなんだよ」
550 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 23:00:25.33 ID:13o0CCTjO
今までの会話の流れが、急に止まる。
(=゚ω゚)ノ「……思ってたより治りは早いですょぅ…ちょっと痛むけど、立てるようになってますし……」
('A`)「そうか、よかったよ」
ぽすん、とぃょぅのベッドに腰掛けた。ぃょぅもそろそろと俺の隣りに座る。
('A`)「楽にしてても良いんだぞ?」
(=゚ω゚)ノ「……隣り、座りたい」
('A`)「そう、か……」
甘えた、モードか?
554 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 23:03:24.13 ID:13o0CCTjO
('A`)「お前をやった後輩、のことはもう大丈夫だ。反省している……し」
あの状況で反省しない方がおかしい。
(=゚ω゚)ノ「……そうですかょぅ」
ぃょぅの顔は晴れなかった。
('A`)「ぃょぅ……」
(=゚ω゚)ノ「やっぱり、僕……バスケやめようかと思うんですょぅ」
557 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 23:06:50.52 ID:13o0CCTjO
('A`)「お前……」
(=゚ω゚)ノ「なんか、もう良いかなあって……」
('A`)「………」
何も言えなかった。あの時の俺に、似ているからだった。似過ぎて、いた。
ぃょぅの頭が俺の肩に落とされる。
(=゚ω゚)ノ「いろいろ疲れたょぅ……もう、いいんだょぅ………」
ふんわりと男物のシャンプーの匂いがした。
560 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 23:09:53.19 ID:13o0CCTjO
(=゚ω゚)ノ「先輩の隣りは、落ち着く」
ぃょぅの手が俺の背中に絡み付く。
(=゚ω゚)ノ「落ち着きすぎて、怖い」
('A`)「……」
(=゚ω゚)ノ「そのうちずっと傍らにいないと、僕は死んじゃうようになっちゃう気がするんだ」
その手を降り払えないのは、俺にぃょぅの気持ちが分かるからだ。
565 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 23:13:28.22 ID:13o0CCTjO
今、きっとこいつは不安で仕方がない。
だから一つのぬくもりにすがって、甘えてしまう。
でもこのままじゃ、きっとこいつは――
('A`)「だめだ」
(=゚ω゚)ノ「……え?」
俺はぃょぅを見つめ、言う。
('A`)「これじゃ、成長出来ないぞ。俺が言うんだから間違いない…うん」
(=゚ω゚)ノ「なんの、ことなんですょぅ……?」
566 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 23:17:51.52 ID:13o0CCTjO
ぃょぅは分かっていないようだ。でも、俺にだって分かっちゃいない。
ただ、言わなくちゃいけないと。
('A`)「今日、俺バスケしたんだ」
(=゚ω゚)ノ「……体育で、ですかょぅ?」
('A`)「部活で、だ」
ぃょぅの目が丸く見開かれた。
(=゚ω゚)ノ「せんぱ……また、バスケ…」
('A`)「つっても今日は体験入部、だけどな」
567 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 23:20:25.55 ID:13o0CCTjO
(=゚ω゚)ノ「なんだ、だょぅ」
ぃょぅは唇を尖らせた。
('A`)「……でも、さ。またぃょぅとバスケが出来るようになるのは、そう遠くない気がするんだよな」
(=゚ω゚)ノ「…先輩」
('A`)「ぶっちゃけると、俺はまだバスケが怖かったりする」
――一度の挫折。恐怖。
打ち勝てないでいたことを、認めよう。
569 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 23:23:13.18 ID:13o0CCTjO
('A`)「でも、だからこそお前がこうやってバスケを続けている、てのが嬉しいんだ」
('A`)「いつでも、お前がいれば戻れる。甘えただけど、安心するんだ」
('A`)「だから、やめるな。きっと後悔する。俺がそうだったんだよ」
('A`)「ぃょぅ、あきらめるな」
570 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 23:25:31.40 ID:13o0CCTjO
(=゚ω゚)ノ「あきらめる、な……?」
('A`)「そうだ。あんな奴に負けるな。お前の味方はいっぱいいるぞ」
(=゚ω゚)ノ「ドクオ先輩……とか?」
('A`)「ジョルジュもだ。あいつ、お前のためなら自分がどうなろうとも良いって言ってた」
(=゚ω゚)ノ「ジョルジュ先輩が……」
ぎゅ、っと袖を掴まれる。
(=゚ω゚)ノ「僕は、馬鹿でしたょぅ……」
571 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 23:29:44.68 ID:13o0CCTjO
(=゚ω゚)ノ「味方なんかいないと思って、僕は…」
(=゚ω゚)ノ「自分の世界に引きこもろうと…逃げようとして……」
(=゚ω;)ノ「周りを見ようとも思わなかったょぅ……気付こうとも思わなかった!」
(=;ω;)ノ「――っ…うう、ぐ…先輩……っ…」
('A`)「……ぃょぅ」
背中をぽんぽんと叩いてやる。もっと気のきいた言葉を言っても良いのに。
俺のボキャブラリーはこういう時にものすごく少ない。
573 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 23:30:43.15 ID:13o0CCTjO
(=;ω;)ノ「僕は……もう逃げない、ょぅ!」
578 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/28(水) 23:44:52.86 ID:13o0CCTjO
確かな声に、俺は安堵の息を吐く。
('A`)「はっ……良かった、ははは」
なんだかこっちまで泣きそうだ。
(=;ω;)ノ「早く足直すょぅ……それで、みんなに認められるレギュラーになるょぅ…!」
('A`)「ああ、最高だなそりゃ」
しばらくぃょぅは泣いていた。
ぽたり、ぽたりと雫が落ちる。
その涙は悲しみとか、怒りとかじゃなくて。
――前向きな、真っ直ぐな涙だった。
9 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/03/01(木) 22:07:13.27 ID:1EF9B2h1O
――…
「ええー…ドクオ君もう帰っちゃうのお?」
「う、すいません」
「いっぱいサラダ作ったのにいー」
「いや、あの」
「…母さん無茶言うなょぅ」
「……本当すいません。気持ちだけもらっときます。で、では」
「先輩、途中まで送りますょぅ」
「おお、ありがとう」
――そんなけで。
ぃょぅ母「じゃあまた来てね! 約束よ! 絶対よ!」
('A`)「お邪魔しました」
俺はぃょぅの家からおいとますることになった。
10 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/03/01(木) 22:09:47.22 ID:1EF9B2h1O
外はさっきよりぐっと冷え込んでいて、暗さが息の白さを際立たせた。
('A`)「さっみー…」
(=゚ω゚)ノ「冬ですから、だょぅ」
('A`)「だな」
というかこいつ送る、って言ってくれたが大丈夫なのか?
まだ十分歩ける、とは言えないだろう。
('A`)「ぃょぅ、無理しなくても良いぞ」
11 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/03/01(木) 22:12:44.77 ID:1EF9B2h1O
(=゚ω゚)ノ「無理なんてしてませんょぅ!」
ぃょぅはにか、と笑った。
(=゚ω゚)ノ「リハビリも兼ねて、ですから!」
('A`)「……そっか」
ではありがたく好意を受け入れよう。
――…
自転車を引きながらのんびりと二人で歩く。
(=゚ω゚)ノ「それにしても」
ぃょぅがふふ、と笑いを洩らした。
(=゚ω゚)ノ「先輩かっこよかったですょぅ」
12 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/03/01(木) 22:15:41.71 ID:1EF9B2h1O
('A`)「褒めてもなんもでないぞ」
(=゚ω゚)ノ「うーん、それは残念ですょぅ」
('A`)「おま!」
俺は笑って流す。
(=゚ω゚)ノ「あ、でも八割本気ですからね?」
……そうですか。
日頃言われなれてないものだから冗談だと分かりつつも反応に困ってしまう。
(*'A`)「………」
(=゚ω゚)ノ「先輩」
ぃょぅが立ち止まった。
15 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/03/01(木) 22:19:39.84 ID:1EF9B2h1O
(=゚ω゚)ノ「……僕、先輩に言わなきゃいけないことがあります」
瞳に捕われる。
('A`)「……なんだ?」
(=゚ω゚)ノ「いま、言うのは嫌だ……」
なんだそりゃ。
(=゚ω゚)ノ「明日の午後、僕の家来れませんか…だょぅ」
('A`)「午後、か……」
明日がどうなるか自分でも分からないのだが。
(=゚ω゚)ノ「……これるんだったらバッシュを持って来てください」
なぜバッシュを?
問おうとした瞬間、ぃょぅの一差し指がそれを制した。
17 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/03/01(木) 22:23:59.55 ID:1EF9B2h1O
(=゚ω゚)ノ「禁則事項」
('A`)「みくるさんかよ……」
力なくつっこむ。
(=゚ω゚)ノ「楽しみはとっておいた方が楽しいですょぅ」
('A`)「バッシュな……行けるかまだわかんねえけど、一応把握しておく」
(=゚ω゚)ノ「はーい」
ぃょぅはそれではこの辺で、と手を振った。
('A`)ノ「ああ。ばいばい」
一通り手を振ったあと、俺は自転車に乗りこんだ。
少し進んで、ふと振り返ってみる。
(=゚ω゚)ノシ
('A`)「(まだ手振ってくれてるのか)」
('A`)ノシ
お互いが見えなくなるまで、それは続いた。
('A`)「(俺、あぶねえええ)」
18 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/03/01(木) 22:27:51.51 ID:1EF9B2h1O
――…
*(‘‘)*「にーちゃ、おそいよおっ!」
帰って来るなりヘリカルの不機嫌な顔。
もっといつもみたいにニコニコて迎えろよ! と言いたくなったが遅くなった俺が悪い。だから何も言えない。
('A`)「あーすまんすまん。バスケやってたんだよ」
*(‘‘)*「むうー!」
J( 'ー`)し「まあまあヘリカル。ドクオ、早く手洗ってきなさい。ご飯待ってたのよ」
('A`)「わかった、さんきゅ」
20 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/03/01(木) 22:31:40.02 ID:1EF9B2h1O
俺が洗面台に行くと、ヘリカルもとてとてと付いて来る。ついでに俺のブレザーの裾をぎゅっと掴みながら。
('A`)「離せ」
軽く、いやかなり邪魔だ。歩きにくい。
*(‘‘)*「やあーだっ!」
まったく完全に拗ねてますよ。俺の妹のくせに頑固なやつだ。
('A`)「くそー」
結局俺が我慢するはめに。
*(‘‘)*「ふーんだあっ!」
憎たらしい。が、それも可愛いと思えるのは俺が妹バカだからなのか。
21 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/03/01(木) 22:35:41.77 ID:1EF9B2h1O
('A`) J( 'ー`)し *(‘‘)*「いただきます」
やっとありつけるご飯は、いつも以上に美味だった。
*(‘‘)*「…むうっ……」
ヘリカルはまたまた人参と睨めっこを開始している。
また俺が食べなきゃいけなくなるかもな、
('A`)「あ」
と思いかけた時だ。
ぱくり、とヘリカルが人参を食べたのだった。
J( 'ー`)し「えらいわ」
すかざず頭をなでるカーチャン。
*(‘‘)*「うええ…まずいよおお……」
22 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/03/01(木) 22:39:52.48 ID:1EF9B2h1O
('A`)「へえ……」
ヘリカルは日々成長していっているんだ。
そんなことを痛感させられる。
J( 'ー`)し「あ、ドクオ。あなた明日予定ある?」
('A`)「え? なんで?」
*(‘‘)*「ピクニックにいくんだよおっ!」
J( 'ー`)し「ヘリカルがどうしても行きたいっていうからね」
この寒いなかさすがだ。子供は風の子ってやつだ。
('A`)「か、考えとくよ」
また予定が追加される。
……明日、本当にどうなるんだろう?
自分でも分からないなんてどうかしている。
……でも、まあ
23 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/03/01(木) 22:42:59.62 ID:1EF9B2h1O
――答えは明日になれば出るだろう。
きっともう出てるはずなんだ。
…多分、な。
――内藤の言うとおり、探そう。
自分を。自分の気持ちを。
ベッドに身を沈めると、思い出したかのように一気に眠気がやってきた。
――…
五日目終了
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