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77 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 18:53:25.12 ID:ckSpgMLWO
――六日目、開始。



 朝です。あっというまに朝なのです。
 自分でもびっくりするくらいよく寝てしまった。
 おかげで今日をどうするかうまくまとめられないうちに今を迎えてしまったわけで。

('A`)「自分を、探す」

 しばらく考えてみた。これからどこへ行こうかを。

川 ゚ -゚)(朝、私の家に)
(*゚ー゚)(応援来てよ)
阿部(俺にもナ)
ξ゚听)ξ(遊園地行こう)
( ^ω^)(エロゲしようお)
(´・ω・`)(バレー大会に)
(=゚ω゚)ノ(夜、来れませんかょぅ?)
J( 'ー`)し *(‘‘)*(ピクニックに行こう)

82 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 18:55:38.91 ID:ckSpgMLWO
 顔が浮かんでは、消える。

 もう時間だ。決断しなくてはいけない。
 いや、もう決まってるだろう。

 今すぐに会いたい。後回しになんて出来ない。

 話したい。
 笑い合いたい。

 答えは――もう出た。

('A`)「俺は――」

**範囲選択発生**

川 ゚ -゚)(朝、私の家に)
(*゚ー゚)(応援来てよ)
阿部(俺にもナ)
ξ゚听)ξ(遊園地行こう)
( ^ω^)(エロゲしようお)
(´・ω・`)(バレー大会に)

94 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 19:02:32.22 ID:ckSpgMLWO
――俺は……

 俺は、クーのところに行く。

('A`)「待ってろよ、クー!」

 俺は急いで準備を始めた。

 いつも無表情で。
 でも笑うとすげえ柔らかくて。

 そんなクーを追い詰める原因を、俺は知りたい。

 そしてクーを助けたい。

('A`)「行って来ます!」

 寒空の下、俺は駆け出した。

***イベント発生***

115 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 19:34:13.09 ID:ckSpgMLWO




 自転車をこぎながら俺は考える。

 もし、俺にとってどうしようもないことがクーを苦しめているのだとしたら――どうするんだ?

('A`)「アホ!」

 自身に一喝する。

 クーを泣かせるめにあわせる奴なんて、

('A`)「俺がぶっ飛ばす!」

 このあと何が起ころうが、俺は守るんだ。

 クーの、笑顔を。

118 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 19:39:15.69 ID:ckSpgMLWO
――…

 十分ほど自転車を飛ばしただろうか。神社の門が見えてくる。

 そしてそこには――

川 ゚ -゚)「………」

 巫女さん姿のクーがいた。

 塀に自転車を慎重に止め、ゆっくりとクーに近付く。

 クーはまだ気付いてないみたいだ。

('A`)「つーか…」

 風になびく髪、朱の袴。

(*'A`)「か、かわいすぎねえか?」

119 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 19:43:20.94 ID:ckSpgMLWO
 制服よりもこちらの方が似合うと感じるのはクーの長い黒髪のせいだ。
 今は一つにまとめられている、さらさらの髪。

('A`)「……」

 胸に熱いものが込み上げる。魅力的だ、誰がなんと言おうとも。

川 ゚ -゚)「あ」

 クーがこちらを振り向く。

('A`)「よう」

川 ゚ -゚)「……来たのか」

120 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 19:45:20.54 ID:ckSpgMLWO
 なんだよ、なんで不機嫌そうなんだよ。

川 ゚ -゚)「お前は余計なことを」

 はあ、とクーは溜め息をつく。

('A`)「といいつつ俺を待ってくれてたんだろ?」

 てことは俺が来ることを望んでたんじゃねえのか?

川*゚ -゚)「ば、馬鹿者!」

 さあっと頬に赤みがさす。

川 ゚ -゚)「わ、私はただ掃除をしていただけだ!」

122 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 19:48:47.14 ID:ckSpgMLWO
('A`)「……箒も持ってないのにどうやって掃除するんだよ」

川 ゚ -゚)「……ふん」

 なんだよ今日のクー。ぜんぜん素直じゃねえ。

('A`)「で? 俺を呼んだ理由はなんだ?」

川 ゚ -゚)「…呼んだのではない。選択を与えたんだ」

('A`)「どっちでもいい。で、なんだよ」

川 ゚ -゚)「………」

 す、と白い手が伸ばされた。

124 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 19:51:49.46 ID:ckSpgMLWO
 俺はそれを自然に握った。
 冷たい手。でも、温かい。

 クーは儚げに微笑んだ。

川 ゚ -゚)「お前との……思い出作りだよ」

('A`)「まるで、最後みたいな言い方だな」

川 ゚ ー゚)「どうだろうな」

 とにかく、中に入らないか?

 クーの誘いに俺は頷いた。

127 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 19:55:13.93 ID:ckSpgMLWO
――…

('A`)「うわ、すげえ!」

 今俺はクーの部屋にいる。見ているのは昔のクーの写真。
 幼稚園から中学までのアルバム。

 相変わらずの仏頂面に俺は笑みが零れた。

川*゚ -゚)「あんまり笑うな! そして見るな!」

 そう言うクーはまだ巫女姿だ。
 理由は聞いていない。

131 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 19:58:47.91 ID:ckSpgMLWO
('A`)「つーかクーの部屋、やっぱ綺麗なんだな」

川 ゚ -゚)「そうか? これが普通じゃないのか?」

('A`)「……少なくとも俺の部屋はもっと汚いぞ」

 そこかしこにラノベやら何やらが転がってるしなアハハ! とは言えない。

川 ゚ -゚)「男だし、な。まあ良いんじゃないか?」

138 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 20:13:10.98 ID:ckSpgMLWO
('A`)「うーん…どうなんかね?」

 ジョルジュの部屋は俺以上に大変なことになってるし、内藤の部屋はごちゃごちゃなようでわりと整頓されてるし。

川 ゚ -゚)「お前の部屋にも、行きたかったな」

('A`)「……」

 まただ。
 なんだろう。この言い方は。

 そういえば、とクーが口を開く。

川 ゚ -゚)「お前、朝飯は食べたか?」

('A`)「朝飯?」

139 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 20:15:12.78 ID:ckSpgMLWO
 急いで出て来たから、食べたのはロールパン一個だ。

('A`)「思い出したせいで腹減った」

川 ゚ -゚)「私のせいか」

('A`)「うん」

 くす、とクーは微笑む。

川 ゚ -゚)「なら詫びよう。朝飯を作ってやる」

('A`)「!」

 ま、まじか。なんかこれ新婚みたい……だな。

144 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 20:19:14.15 ID:ckSpgMLWO
川 ゚ -゚)「そ、その前に」

 申し訳なさそうな声。

川 ゚ -゚)「ちょっとあっちを向いててくれないか?」

('A`)「へ?」

川 ゚ -゚)「き、着替えなきゃならない」

 ひら、と袴が揺れた。

(*'A`)「ええっ!? あ、わ、わかった!」

 あたふたと何も考えずにクーの布団に顔をうずめた。

川*゚ -゚)「やっ、ちょ、そこは!」


148 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 20:23:38.10 ID:ckSpgMLWO
 頭に布地の感触。

('A`)「?」

 真っ暗だから何がなんだか分からない。

川 ゚ -゚)「み、見るな! 見ようとするなよ!?」

('A`)「そう言われると見たくなるんだよな……」

 布団から顔を出し、手で引き出す。

川 ゚ -゚)「おま――っ!?」

152 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 20:28:14.11 ID:ckSpgMLWO
 出てきたのはクーが着るとは想像しがたい、ふわふわでひらひらな桃いろのワンピース。

川*゚ -゚)「うわああっ!」

 無理やり奪われた。

川*゚ -゚)「こ、これは別に着ようとか思ったわけじゃないぞ!? 勘違いするな! 別にお前のためとかじゃ……」

 え?

('A`)「俺の、ため……?」

川 ゚ -゚)「あ……」

155 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 20:32:39.20 ID:ckSpgMLWO
 クーは気まずそうに顔を伏せた。

川 ゚ -゚)「……そうだよ。お前のために買ったんだ。お前、こういうの好きそうだし」

('A`)「いやっ、好きだけれどもさっ」

川 ゚ -゚)「喜ぶ顔が見たかったんだよ!」

 ピーンと頭の中で豆電球が光る。
 …表現が古いとかの突っ込みはなしな。

('A`)「お前、まさか袴も……」

 俺のため、な訳か?

159 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 20:36:58.23 ID:ckSpgMLWO
川*゚ -゚)「……当たり、だよ」

 クーは俺に後ろを向けと指をさす。
 黙って従う俺。

 背後から聞こえる衣擦れの音にどきどきしながら、頭の中では今のことでいっぱいだった。

('A`)「(俺のため、ってどんな殺し文句だよ)」

 さっきから反応するもう一つの俺が、さらに元気になった。

163 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 20:41:01.18 ID:ckSpgMLWO
川 ゚ -゚)「もういいぞ」

 俺はおそるおそるクーを拝見させていただく。
 ……って

('A`)「ワンピース着ないのかよ!」

 クーはロングTシャツにジーンズとラフな格好だった。

川 ゚ -゚)「さっきのは忘れろ」

 巫女服を畳みながら答える。

川 ゚ -゚)「台所に行くぞ。お前も朝飯作るの手伝え」

('A`)「とーちゃんかーちゃんは?」

川 ゚ -゚)「朝からいないんだ」

234 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 23:04:58.09 ID:ckSpgMLWO
('A`)「こんな朝早くからか?」

川 ゚ -゚)「明日のこととか……いろいろ、な」

('A`)「明日?」

 何かあるのか?

川 ゚ -゚)「…まあ、いろいろだ」

 クーは言葉を濁す。

 俺はあえて言及せず、台所に降りて行くクーの後を追った。

――話してくれるまで、待とう。

235 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 23:08:14.60 ID:ckSpgMLWO
――…

川 ゚ -゚)「ドクオ、悪いが冷蔵庫からジャガ芋と玉葱を取ってもらえるか?」

川 ゚ -゚)「ついでにどっちも洗ってくれ」

('A`)「へーい」

 いやはや、朝からこき使われちゃってます。良いんだけどさ、ちょっと楽しいし。

('A`)「水つめてええ」

川 ゚ -゚)「日本男児がそんなことで悲鳴をあげるな」

('A`)「俺は日本男児の中でも下の方に属してるんだよ」

 手に付いた水をクーの方に向けてはじいた。

237 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 23:11:22.22 ID:ckSpgMLWO
川 ゚ -゚)「……つめたい」

('A`)「だって水だもん」

川 ゚ ー゚)+「おいいいのか? いま私の近くにはフライパンも包丁も――ありとあらゆる凶器がそろってるんだぞ?」

('A`)「……や、やる気っすか」

 クーが言うとシャレにならない気がする、うん。

 クーがフライパンを温めながら言う。

川 ゚ ー゚)「お前の好きな卵料理ってなんだ?」

**自由記述発生**

伊達巻き

243 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 23:17:11.22 ID:ckSpgMLWO
('A`)「伊達巻き……かなあ」

川 ゚ -゚)「正月気分だなドクオは。しっかも難しい奴を……」

 そう言いながらもクーは卵を割り、調理の準備をし始めた。

川 ゚ -゚)「つなぎは山芋で良いか?」

('A`)「つなぎってなんだ?」

川 ゚ -゚)「……何でもない。気にするな」

 料理しないからな、あんまり。

246 :作者 ◆9qR5dPz92I  :2007/03/02(金) 23:22:20.73 ID:ckSpgMLWO
川 ゚ -゚)「ドクオは野菜炒めを頼むよ。私は伊達巻きだ」

('A`)「は、把握」

 ちょ、ちょっと楽しくなってきたぞ。……怖いけど。

川 ゚ -゚)「野菜を切って、そのあとベーコンを」

('A`)「わわ分かった」

 まな板を敷き、包丁を手にする。
 ……そのまま硬直する俺。

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