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299 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/08(木) 14:50:27.87 ID:oA/GArUyO
いつも何となく目で追ってしまう人がいる。
朝学校に来たとき、授業中、お昼の時間、放課後。
場所が変わる度、状況が変わる度。居るのかなって、何して居るのかなって。
…自分でも、ちょっと気持ち悪いって思う。
なんでこんな風になるんだろう?
アイツが授業中いつも寝ているってこと以外は、どういう人なのか私はしらない。
――どういう風に喋るのかも、ね。
そう、話したこともないのだ。私は。
――でも、気になる。
何でだろうね、自問自答してしまうよ。もちろん、答えは出ないのだけれども。
ξ゚听)ξ「ドクオ…」
ぽつりと、呟いてみる。
…空しさだけが心に染み渡った。
**another story**
ξ゚听)ξは('A`)と出会ったようです
300 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/08(木) 14:51:02.15 ID:oA/GArUyO
そんなわけでバスケのチームがドクオと一緒だと分かった時、胸が高鳴った。
これは、神様がくれたチャンスだ。
ξ゚听)ξ「これからよろしくね」
チームなんかどうでも良さそうなドクオに恐る恐る声をかけてみる。
どんな反応が帰って来るんだろう。素っ気なかったら、嫌だな。嫌われたら、どうしよう。
でも、そんな心配は杞憂だった。
('∀`)「よろしく」
初めての、笑顔。
…ふうん。なかなか悪くないじゃない。
――…
正直、意外だった。
('A`)「ツン!ガードが甘い!!」
ξ゚听)ξ「は、はいっ!」
それは試合中のこと。
('A`)「内藤も!ただ突っ立ってるだけじゃバスケに何ねーんだからな!!」
(;^ω^)「ふひっ、ごめんなさいだお」
ドクオはバスケ経験者だったらしい。試合中、私たちのチームの司令塔となり声を張り上げる。
ξ゚听)ξ「(…意外過ぎる)」
301 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/08(木) 14:51:27.58 ID:oA/GArUyO
この人がスポーツをやっていたのがまず驚きなのだが、なによりも試合に燃えていることが私を呆然とさせる。
だって、この人いつも寝ているんだよ? ありえないでしょ、こんなの。
その日の試合は司令の素晴らしさで勝利を修めることができた。
その後の倫理の授業、ドクオを横目で確認してみる。
(-A-)「ぐー」
ξ;゚听)ξ「(寝てるのかよッ!)」
ますます分からない。ドクオは一体どんな人?
――…
しばらくの月日が経ったあと、さらに私に衝撃を与える事件が起きた。
授業が終わり帰る前にとトイレに行く途中、私は見た。
ドクオがスキップで歩いているところを。
302 :作者 ◆9qR5dPz92I :2007/02/08(木) 14:53:02.73 ID:oA/GArUyO
('∀`)「♪」
スキップ、スキップよ?
こいつほどその動きが似合わない奴も居ない気がする。おまけに、幸せそうな笑みまで浮かべているものだから私の頭はさらに混乱する。
…だから、うっかり口が滑ってしまったのだ。
『キャラ、違わない?』
思えばその一言がさらに私を困惑させる一因ではあるのだけれども、それは間違いなく私たちの関係を進ませたのは間違ない。
――女の子はね、分からないのが大好きなのよ。
…何それ、どういう意味よ。
――簡単に理解してしまうのは勿体ないわ。ゆっくり、ゆっくり。雪解けを待つ春のように、ね。
…分からない気もしなくはないわ。
ξ゚听)ξ「春を、待つ」
そうだ。
明日から、アイツとたくさん話そう。分からないなら、近付けば良いんだ。
――そう、ゆっくりと。
END
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